Quantcast
Channel: SPICE(スパイス)| エンタメ特化型情報メディア
Viewing all 61171 articles
Browse latest View live

宇野昌磨がすべてをプロデュース! アイスショー『Ice Brave』開催決定

$
0
0

宇野昌磨がプロデュースを手掛けるアイスショー『Colantotte Presents 宇野昌磨アイスショー Ice Brave』が愛知、福岡、新潟で開催される。

宇野昌磨

宇野昌磨

6月14日(土)、15日(日)愛・地球博記念公園(モリコロパーク)アイススケート場(愛知県)
6月21日(土)、22日(日)オーヴィジョンアイスアリーナ福岡(福岡県)
7月12日(土)、13日(日)MGC三菱ガス化学アイスアリーナ(新潟県)

*いずれも土曜日2公演、日曜日1公演の計3公演

宇野は、五輪2大会連続メダル獲得、世界選手権連覇、全日本選手権で10年連続表彰台に立つなど、長きにわたり世界のフィギュアスケートを牽引した。しかし、昨年5月に競技からの引退を表明し、新たな道を歩み出した。

彼は次なる目標の1つとして「自身のアイスショーをプロデュースする」ことを挙げていたが、今回のショーはそれが現実のものとなる。

コンセプトの立案から構成演出、キャスティング、振付、パフォーマンスとすべての面を宇野自身がプロデュース。宇野が現役時代に滑った楽曲を再構成し、今の宇野昌磨だからこそ魅せられるプログラムを作り上げた。彼は、『Ice Brave』への想いを以下のように語っている。

「『Ice Brave』は、ほとんどを僕が現役時代に使ってきた曲で構成したアイスショーです。それは、現役時代に培ってきたものや磨き上げてきたものを自分の体に残っている状態で魅せたいと思ったから。そして、みなさんの記憶が新しいうちに、自分自身の軌跡を表すアイスショーを作ってみたいと思ったからです。

また、今の自分が10年前のプログラムで使用した曲で滑ったときに、どんな演技をするのかを自分自身も見てみたい!という気持ちもありました。初めての僕自身のアイスショーを自分でプロデュースをさせていただけるので、まずは“本当にやりたいことをやりたい”という想いで作っている作品です。

選手のときは自分だけとの向き合いでしたが、今は一緒に滑るスケーターや制作に関わるスタッフのみなさんと同じ方向を目指してショーをつくり上げていくことに楽しさを感じています。こんなにもスケートに前向きに、モチベーションを持って取り組めているのは、現役時代も2、3回あったかどうかというくらいの気持ちです。

普段なら“素晴らしいショーになったのでぜひ見に来てください”というようなありきたりなことを言うのですが、『Ice Brave』は始まりからとてもエネルギッシュなショーになるので、声援や拍手をたくさんしていただいて一緒にこのショーを完成させてほしいと思っています!

僕たちもエネルギーを爆発させて滑るので、音楽をさえぎるくらいのつもりでたくさんの声援や拍手をお願いしたいです。画面越しでは味わえないライブ感や会場ならではのショーの一体感をぜひ感じてください。

『Ice Brave』をみなさんと一緒につくれることを楽しみにしています!」

なお、宇野のほか、本田真凜、本郷理華、中野耀司、唐川常⼈、櫛⽥⼀樹が出年予定。さらに、ゲストスケーターとして宇野の恩師であるステファン・ランビエールの出演も決定している。

本田真凜

本田真凜

本郷理華

本郷理華

中野耀司

中野耀司

唐川常⼈

唐川常⼈

櫛⽥⼀樹

櫛⽥⼀樹

ステファン・ランビエール

ステファン・ランビエール

宇野昌磨アイスショー「Ice Brave」15秒ティザー


Chimothy→、ミニアルバム収録曲「さよならファットネス」のMVを公開 リリースツアーの対バンも解禁

$
0
0


今年の1月にmurffin discsへの所属が発表されたChimothy→(読み:チモシー)。そんな彼女たちが4月23日(水)にリリースするミニアルバム『mishmash』(読み:ミシュマシュ)収録曲「さよならファットネス」のMusic Videoを公開した。

学校を舞台に彼女たちが自らの欲望と葛藤する姿がコミカルに表現されている。

 

さらに、同リリースツアーの各地ゲストアクトも発表となり、LONGMAN、komsume、COPES、古墳シスターズ、メとメが各地に出演する。チケットは発売中。

Chimothy→ presents 「mishmash」Release Tour

Chimothy→ presents 「mishmash」Release Tour

 

mogari、現代の邦ロックシーンに対する疑問や憤りを刻んだ新曲「ロックバイアス」をリリース、ミュージックビデオも公開

$
0
0

mogari(モガリ)が4月16日(水)に約半年ぶりとなる新曲「ロックバイアス」をデジタルリリースし、ミュージックビデオを公開した。

2023年夏に活動を開始した4人組バンドのmogari。<ただ待ってらんないよ だって僕も君も何もないんだ>という歌詞から幕を開ける同楽曲は、古賀凜太郎(Vo.Gt)の現代の邦ロックシーンに対する疑問や憤り、日々のやるせなさが強く刻まれたロックアンセムとなっている。また歌詞とは反比例するように、四つ打ちを基調にグランジの雰囲気からサビのシンガロングまでラップも織り交ぜながら駆け抜ける、令和流ギターロックに仕上がっている。

古賀からのコメント

新しい mogari のロックアンセムが完成しました。
今の邦ロックシーンに何か物⾜りなさを感じていたり、⽇々焦燥感や劣等感を抱くオレみたいな⾳楽好きに聴いてもらえると嬉しいです。
これから最⾼の新曲をどんどん出していくので、そのスタートダッシュとして聞いて覚えて歌いにきてください!!

mogariは今後、5月3日(土・祝)には大阪・心斎橋周辺のライブハウス4会場サーキットイベント『邂逅遭遇2025』、6月7日(土)~8日日(日)には東海地区最大のライブサーキット『SAKAE SP-RING 2025』への出演が決まっている。チケットはイープラスにて販売中。

SAKANAMON・藤森元生、自身初の個展『藤森元生の見せるほどでもないけど展』開催決定、作品や小学生時代の作詞ノートを展示

$
0
0

SAKANAMONの藤森元生(Vo.Gt)が5月15日(木)~17日(土)に、東京のmurffin studioにて自身初となる個展『藤森元生の見せるほどでもないけど展』を開催することを発表した。

5月14日(水)にリリースされるデジタルEP「OTOMO」会場限定盤特別パッケージのデザインなどを手がける藤森。同展ではこれまでに描いてきた作品の数々や、デジタルEP「OTOMO」にまつわる展示が行われる。ほぼ全てのSAKANAMOの作詞・作曲を務める藤森が小学生時代に作詞したノートなども公開予定となっており、藤森の感性に触れられる機会となっている。ここでしか購入できないオリジナルグッズも販売を予定している。入場料は無料。

また6月から開催される『OTOMO MOTTO TOUR』より販売予定だったデジタルEP「OTOMO」会場限定盤特別パッケージが『藤森元生の見せるほどでもないけど展』で先行販売されることも決定。会場限定盤特別パッケージは藤森が全てデザインを手がけこだわりの1枚となっている。さらに5月14日(水)からSAKANAMON公式通販サイトでも販売される。

そんなEP「OTOMO」はTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』の劇中バンド・結束バンドの新曲として藤森が作詞作曲し、マカロニえんぴつの田辺由明(Gt)をリードギターに招きセルフカバーをした「光の中へfeat.田辺由明(マカロニえんぴつ)」、テレビ朝日『ひっかかりニーチェ』2025年2月EDとなった「voices」に加え、新たなアーティストを迎えて制作された新曲「LOSER」と「ANIMALS」の全6曲が収録予定となっている。

「OTOMO」を引っ提げた全国9ヶ所を巡るワンマンツアー『OTOMO MOTTO TOUR』は6月13日(金)の石川からスタートし、愛知・宮城・北海道・大阪・香川・広島・福岡を巡り、ツアーファイナルは東京SHIBUYA CLUB QUATTROにて行う。チケットは4月20日(日)18:00まで、イープラスにてプレオーダー受付中。

tuki.初のドラマ主題歌、RIP SLYME 5人そろっての新曲、ジャクソン・ワンとNumber_iのコラボなど今週の注目新作を深堀り『New Music Wednesday [Podcast Edition]』

$
0
0

話題の新曲を最速で知れる、Spotifyの人気プレイリスト『New Music Wednesday』を、ナビゲーターの竹内琢也が深掘りするプログラム『New Music Wednesday [Podcast Edition]』。『NMW』リストイン楽曲&今週の注目ニュースを深堀り! このSPICEでは同番組で紹介されている、プレイリストだけでは知ることのできないエピソードやSpotifyのエディター(プレイリストを構成している人たち)のこだわりをピックアップして掲載。

今週はtuki.が初のドラマ主題歌をリリースしてカバーに。RIP SLYMEの約9年ぶりとなる5人そろっての新曲、Jackson WangとNumber_iによる「GBAD(Number_i Remix)」もリリースに。須田景凪としても活動しているバルーンによる企画アルバムや、TK from 凛として時雨の約5年ぶりのオリジナルアルバムなど、この1週間の気になる音楽ニュースも深堀り!そのほか、アーティストのライブやフェス情報も掲載。番組への感想やリクエストはSpotifyアプリのコメント機能から投稿を。

tuki.「騙シ愛」

現役高校生シンガーtuki.の新曲「騙シ愛」がリリースになりました。昨年はSpotifyが選ぶ『RADAR: Early Noise 2024』に選出され、楽曲「晩餐歌」は、2024年Spotify国内再生ランキングで第5位、Billboard JAPANの年間総合チャート“JAPAN Hot 100”では第2位を記録。年末には紅白歌合戦にも出演し、今年1月にはファーストアルバム『15』をリリース。勢いそのままに届けられた今作「騙シ愛」は、4月13日から放送がスタートしたドラマ『キャスター』の主題歌に起用されています。tuki.にとって初のドラマ主題歌となります。(「ジェットコースターのように目まぐるしく展開する『キャスター』の台本を読みながら、日々考えていたことを『騙シ愛』という楽曲にしました」とコメント)ジャケット写真には、ニュースキャスターに扮したtuki.のキャラクターが描かれています。

Jackson Wang「​GBAD JP Remix w/ Number_i」

ジャクソン・ワンとNumber_iのコラボレーションによる新曲「GBAD (Number_i Remix)」がリリースになりました。Number_iとジャクソン・ワンは昨年の『コーチェラ・フェスティバル』にて共演。88risingによる『88RISING FUTURES』でのNumber_iのステージに登場、「GOAT」のパフォーマンス中にサプライズ出演し話題となりました。今年リリース予定のジャクソン・ワンのニューアルバム『MAGIC MAN 2』からの先行シングル「GBAD」のRemixバージョンとして今回リリースとなりました。Spotifyではプレイリスト『Dance Pop:Japan』のカバーも飾っています。

バルーン「シャルル」

バルーン(須田景凪)による企画アルバム『Fall Apart』がリリースになりました。須田景凪は2013年よりバルーン名義でニコニコ動画にてボカロPとしての活動を開始し、2017年からは自身の声で歌うアーティスト須田景凪としても活動。(バルーンの活動の方が先にスタート。須田景凪名義でのリリース「Veil」は今月に1億再生を突破!)アルバムには、バルーンの既発楽曲を、彼自身がリスペクトするアーティストたちがリアレンジ・歌唱した5曲であるAdo「シャルル」(Prod. by キタニタツヤ)、なとり「メーベル」、Reol「レディーレ」(Prod. by 椎乃味醂)、高畑充希「雨とペトラ」(Prod. by 東京スカパラダイスオーケストラ)、Chevon「パメラ」に加えヒトリエが参加した新曲の「WOLF」が収録されています。『New Music Wednesday』には「」がリストインしました。

バルーンはChevonについて「Chevonは自在に色を変え、表現の幅を広げ続けているバンドだという印象があります。Chevonの得意とする、妖艶さのようなものに「パメラ」という曲との親和性を感じました」とコメント。Chevonは本作への参加について「自分達がこの曲をゼロイチで作ったとしたらこんな歌い方やアレンジはしないけど今回はカバーなので、須田景凪さんというオリジナルありきで歌い方もアレンジも考え、編曲に村山☆潤さんをお迎えしてさらに音源に深みを出しました」と語っています。

RIP SLYME「​どON」

RIP SLYMEの新曲「どON」がリリースされました。2017年以降、5人での活動を休止し、近年はRYO-Z、ILMARI、FUMIYAの3人で活動していた彼らですが、先日、メジャーデビュー25周年記念日である2026年3月22日までの約1年間、再び5人で活動することを発表し大きな話題を呼びました。今回の「どON」は、約9年ぶりとなる5人そろっての新曲です。(1年限定の活動で、以降は活動休止に入ることも同時にアナウンスされています。活動再開が発表され、イベント出演とかはもう発表されていまして、でもこんな早く新曲が出るとは思ってなかったです。先週「新曲も出して欲しいですね〜」みたいに話していましたが、もう今週まさかのリリース。ちなみにSpotiyでは今月だけでも、10万を超えるリスナー作成プレイリストから再生されています。みんなの期待が高まりまくり!)

RIP SLYMEは、5月5日(祝)の『JAPAN JAM 2025』を皮切りに、全国各地の大型フェスへの出演が続々と決定。METROCK、MEET THE WORLD BEAT、GREENROOM FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SWEET LOVE SHOWERなど、主要フェスのラインナップにも名を連ねており、約1年限定の再集結に各地で注目が集まっています。Spotifyではプレイリスト『Pop Legends Japan』のカバーを飾っています。

TK from 凛として時雨「Synchrome」

TK from 凛として時雨のニューアルバム『Whose Blue』がリリースされました。TK from 凛として時雨は、凛として時雨のボーカリスト兼ギタリストでもあるTKのソロプロジェクト。2020年の『彩脳』以来、約5年ぶりとなるオリジナルアルバムです。アルバムには、稲葉浩志(いなばこうし)とのコラボレーションで話題となった「Scratch」、TVアニメ『チェンソーマン』エンディングテーマ「first death」、アニメ『僕のヒーローアカデミア』第7期オープニング「誰我為」などの既にリリースになっている楽曲に加え、さらに、約5年半ぶりにヨルシカのsuisを迎えた「Synchrome」、ケンモチヒデフミがプログラミングで参加した「Microwaver」などが収録されています。このアルバムを引っ提げて、5月から全国8都市9公演のライブツアー『Whose Blue Tour 2025』も開催予定です。Spotifyでは日本のロックシーンの話題曲を集めたプレイリスト『J-Rock On!!』のカバーを飾っています。

文=竹内琢也、Y.SHOGO


『New Music Wednesday [Podcast Edition]』とは……

毎週水曜日に、その週リリースされた注目の新曲を中心に更新される、Spotifyのプレイリスト『New Music Wednesday』をさらに深掘りするSpotify公式ポッドキャスト。この番組をチェックすると話題の新曲をいち早く、そして詳しく知ることができて、今の音楽シーンがまるわかりに。あなたの通勤、通学、スキマ時間に無料で聴くことができるので是非チェックを。また番組では、Spotifyアプリの「Q&A」からメッセージやリクエストも募集中。あなたのオススメ曲や思い出ソングが紹介されるかも!? 番組への感想やリクエストはSpotifyのコメント機能から投稿を!

国宝・重要文化財が40件以上集結 全ての作品が見どころの『相国寺展』レポート

$
0
0

2025年3月29日(土)から5月25日(日)まで、東京藝術大学大学美術館 本館(東京・上野)にて『相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史』が開催中だ。

室町幕府三代将軍・足利義満(1358~1408)の発願(ほつがん)によって開かれた相国寺は、鹿苑寺(金閣)、慈照寺(銀閣)を擁する臨済宗相国寺派の大本山。640年あまりの長い歴史を持ち、雪舟、狩野探幽、伊藤若冲、円山応挙といった高名な芸術家と親交が深く、数多くの美術品を収蔵・保護してきた。相国寺・鹿苑寺・慈照寺が所有する作品は、相国寺境内にある承天閣美術館で公開しているが、本展覧会は、相国寺承天閣美術館開館40周年を記念し、相国寺派の名品を中心に東京・上野にて鑑賞できる貴重な機会となる。

国宝・重要文化財40件以上、全てが見どころの絢爛豪華な内容

本展は160点以上もの展示品の中に、国宝・重要文化財40点以上が含まれる、極めて豪華な内容である。会場は「【第1章】創建相国寺―将軍義満の祈願」「【第2章】中世相国寺文化圏―雪舟がみた風景」「【第3章】『隔蓂記』の時代―復興の世の文化」「【第4章】新奇歓迎!古画礼讃!―若冲が生きた時代」「【第5章】未来へと育む相国寺の文化 ―“永存せよ”」の5章構成だ。

展示風景 「【第1章】創建相国寺―将軍義満の祈願」より

展示風景 「【第1章】創建相国寺―将軍義満の祈願」より

第1章は相国寺創建期を代表するコレクションを紹介し、第2章は雪舟らの水墨画などを展示、第3章にて近世復興期の相国寺の逸品を展覧し、第4章では相国寺の文化に貢献した若冲らの作品などを公開、第5章で数々の什物(じゅうもつ:仏教教団が所有する日用品や生活必需品)を展覧するという内容で、ほぼ時系列順の内容である。展示品は絵画・書・衝立・茶器など非常に幅広く、いずれも保存状態が良いので、大切に保管されてきたことが伝わってくる。

展示風景 国宝《玳玻盞散花文天目茶碗》吉州窯 中国・南宋時代 12-13世紀 相国寺【前期展示】

展示風景 国宝《玳玻盞散花文天目茶碗》吉州窯 中国・南宋時代 12-13世紀 相国寺【前期展示】

相国寺の歴史の流れを伝える内容

相国寺の歴史は、足利義満の「吾れ、新たに小寺を建てんと欲す」という一言に始まる。本展は建立を提案した義満や、実際に建立した夢窓疎石(むそうそせき)の肖像画など、相国寺の歴史に関連する品を多数紹介する内容だ。歴代の住持や人間関係を示す美術品の数々は、640年あまりの時の重みを今に伝える。

展示風景 左:重要文化財《足利義満像》伝 土佐行広筆 足利義持賛 室町時代 応永15年(1408) 鹿苑寺【前期展示】

展示風景 左:重要文化財《足利義満像》伝 土佐行広筆 足利義持賛 室町時代 応永15年(1408) 鹿苑寺【前期展示】

展示風景 右:《夢窓疎石像》夢窓疎石賛 南北朝時代 14世紀 相国寺【前期展示】

展示風景 右:《夢窓疎石像》夢窓疎石賛 南北朝時代 14世紀 相国寺【前期展示】

三代将軍・足利義満が築いた鹿苑寺を中心とする北山文化と、八代将軍・足利義政が建立した慈照寺を舞台に展開する東山文化においては、中国の美術品である唐物が珍重され、東山御物と呼ばれた。会場には、義満遺愛の絵画や義政が愛用した茶入や文房具など、将軍たちの愛好した名品が多数ある。相国寺が美術品を庇護してきたことを実感できるだろう。

展示風景 中央:《唐物小丸壺茶入(唐物青貝四方盆添)》茶入:中国・南宋−元時代  13世紀 盆:中国・明時代 16-17世紀 慈照寺

展示風景 中央:《唐物小丸壺茶入(唐物青貝四方盆添)》茶入:中国・南宋−元時代  13世紀 盆:中国・明時代 16-17世紀 慈照寺

戦国時代に荒廃した相国寺を復興した西笑承兌(せいしょうじょうたい)の跡継ぎである鳳林承章(ほうりん じょうしょう)が綴った日記《隔蓂記(かくめいき)》や、鳳林が狩野探幽に依頼した《花鳥図衝立》も展示されている。《花鳥図衝立》の優美で端正な筆致は、探幽の確かな画力と鳳林との信頼関係を今に伝える。

展示風景 右:《隔蓂記》鳳林承章筆 江戸時代 寛永12–寛文8年(1635–1668) 鹿苑寺 

展示風景 右:《隔蓂記》鳳林承章筆 江戸時代 寛永12–寛文8年(1635–1668) 鹿苑寺 

展示風景 右二基:《花鳥図衝立》狩野探幽筆 江戸時代 慶安元年(1648) 相国寺

展示風景 右二基:《花鳥図衝立》狩野探幽筆 江戸時代 慶安元年(1648) 相国寺

相国寺の美術品を象徴するものの一つに《鳴鶴図(めいかくず)》がある。こちらは中国・明時代の画家である文正(ぶんせい)の手による花鳥画の一つで、相国寺六世の絶海中津(ぜっかいちゅうしん)が中国から帰国する時に持ち帰ったもの。この荘厳で美しい作品を拝見するために鳳林へ依頼を出し、模写して自分の表現を加えた狩野探幽の《飛鶴図》は本展第三章で鑑賞できる。

展示風景 重要文化財《鳴鶴図》文正筆 中国・元–明時代 14–15世紀 相国寺【前期展示】

展示風景 重要文化財《鳴鶴図》文正筆 中国・元–明時代 14–15世紀 相国寺【前期展示】

伊藤若冲、円山応挙など 高名な作家の名品が勢ぞろい

相国寺の文化を考えるにあたって重要な人物として、中世は雪舟、近世は伊藤若冲が挙げられるだろう。室町水墨画の巨匠とされる雪舟は、相国寺の画僧であり足利将軍家の御用絵師であったという如拙(じょせつ)や、如拙の後を受けて活動した周文を師と仰ぎ、相国寺第三十六世の春林周藤(しゅんりんしゅうとう)のもとで修行した後、明に渡って水墨画家としての地位を築いた。本展は雪舟関連の作品や、雪舟も見たであろう美術品が多数展示されている。

展示風景 中央:重要文化財《墨梅図》伝 如拙筆 絶海中津賛 室町時代 15世紀 正木美術館【前期展示】

展示風景 中央:重要文化財《墨梅図》伝 如拙筆 絶海中津賛 室町時代 15世紀 正木美術館【前期展示】

独自の絵画世界を展開した伊藤若冲は、相国寺の僧・梅荘顕常(ばいそうけんじょう)と長く交流があり、相国寺にある中国絵画を見て学んだという。そして専業画家になって間もない時期、顕常の推薦で金閣の中にある大書院の襖絵を描く絵師に抜擢された。本展第四章で見られる《鹿苑寺大書院障壁画》は、若冲の伸び伸びとした筆致と高い技巧が堪能できる逸品だ。

展示風景 左:重要文化財《鹿苑寺大書院障壁画 四之間 双鶏図》伊藤若冲筆 江戸時代 宝暦9年(1759年) 鹿苑寺

展示風景 左:重要文化財《鹿苑寺大書院障壁画 四之間 双鶏図》伊藤若冲筆 江戸時代 宝暦9年(1759年) 鹿苑寺

展示風景 重要文化財《鹿苑寺大書院障壁画 一之間 葡萄小禽図》伊藤若冲筆 江戸時代 宝暦9年(1759) 鹿苑寺

展示風景 重要文化財《鹿苑寺大書院障壁画 一之間 葡萄小禽図》伊藤若冲筆 江戸時代 宝暦9年(1759) 鹿苑寺

本展は若冲作品が豊富で、伝 李公麟《猛虎図》と若冲が描いた《虎図》を元にした《竹虎図》や、亀や箒といった独特の画題や構図を堪能できる《亀図》《厖児戯帚図(ぼうじぎほうず)》など、個性豊かな世界をたっぷり鑑賞できる。

展示風景 左:《亀図》伊藤若冲筆 聞中浄復賛 江戸時代 寛政12年(1800)頃 鹿苑寺  右端:《竹虎図》絵:伊藤若冲筆 賛:梅荘顕常筆 江戸時代・18世紀 鹿苑寺

展示風景 左:《亀図》伊藤若冲筆 聞中浄復賛 江戸時代 寛政12年(1800)頃 鹿苑寺  右端:《竹虎図》絵:伊藤若冲筆 賛:梅荘顕常筆 江戸時代・18世紀 鹿苑寺

ほか、風になびく萩やススキ、野菊を緻密で繊細な情緒で描いた長谷川等伯の《萩芒図屏風(はぎすすきずびょうぶ)》、写実性に目を見張る円山応挙の大作《七難七福図巻》など、日本美術史に名を残し、現代も高く評価されている大家の名品がずらりと並ぶ。

展示風景 『萩芒図屏風』長谷川等伯筆 桃山時代 16-17世紀 相国寺【前期展示】

展示風景 『萩芒図屏風』長谷川等伯筆 桃山時代 16-17世紀 相国寺【前期展示】

展示風景 右:重要文化財《七難七福図巻》円山応挙筆 江戸時代 明和5年(1768) 相国寺

展示風景 右:重要文化財《七難七福図巻》円山応挙筆 江戸時代 明和5年(1768) 相国寺

約150点もの展示品の中に国宝・重要文化財40件以上を含む『相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史』。2025年5月25日(日)まで、東京・上野の東京藝術大学大学美術館 本館で開催中。


文・写真=中野昭子

VELTPUNCH、約2年半ぶりのシングル「17歳と嘘つき」デジタルリリース決定、リリース記念ワンマンも開催

$
0
0

VELTPUNCHが5月14日(水)に、約2年半ぶりとなるデジタルシングル「17歳と嘘つき」をリリースすると発表し、ジャケットビジュアルとアーティスト写真を公開した。

今年はファーストアルバム『when we drive』のリリースからちょうど25年目となるVELTPUNCH。シングルにはグランジ色強めな印象の「嘘つき」とツインボーカルの「17歳」の2曲が収録され、デジタルでリリースされる。各曲のレビューも到着した。

「17歳と嘘つき」

「17歳と嘘つき」

「嘘つき」
熱のこもったシンバルの4カウントで始まる「嘘つき」は、VELTPUNCHの十八番である長沼秀典と荒川慎一郎による2000年代エモ直系なツインギターの絡み、ナカジマアイコと浅間直紀によるエッジの効いたハードコアなリズムを用いつつ、グランジ色強めのヘヴィな曲調が印象的な仕上がりで、タイトル通りの「嘘つき」をテーマにしたささくれだった歌詞とアレンジがよくマッチしている。中盤の間奏からは楽しげなクラップ(90年代ロックのリスナーであれば、ASHの「Kung Fu」を思い出す人もいるかも)と「Oi!」の掛け声が入り、ベースソロからギターソロへと展開していくスリリングな流れは、ライブにおける新たなハイライトを作り出すに違いない。[Text:金子厚武]

「17歳」
チョーキングによるイントロがMy Bloody Valentineを連想させる「17歳」は、VELTPUNCH最大の特徴である長沼秀典とナカジマアイコの男女ツインボーカル(これもある意味マイブラ的)をフィーチャーしたミドルチューン。〈I’ll never hate your cheap rock〉〈本当はヒーローだって 尊敬や共感よりも金銭報酬切望してんの〉といった強い音楽愛とシニカルさが入り混じった歌詞は実に長沼らしく、ラストに聴くことのできる〈最低!〉という渾身のシャウトは、名曲「killer smile」の〈音楽だって必要ねーよ。〉にも通じるものがある。今もVELTPUNCHがティーンエイジのハートを胸に抱き続け、だからこそ若手からリスペクトされていることを象徴する、胸熱な一曲。[Text:金子厚武]

新曲のリリースを記念して、6月28日(土)に新代田FEVER、7月20日(日)に下北沢SHELTERにて、『VELTPUNCH「17歳と嘘つき」リリース記念ワンマンライブ2025』を開催することも発表。

チケットはイープラスにて、4月18日(金)12:00から先行販売(プレオーダー)を開始。

歌舞伎座『四月大歌舞伎』4/19昼の部より公演が再開

$
0
0


2025年4月14日(月)夜の部より公演が中止となっていた、歌舞伎座『四月大歌舞伎』の再開が発表された。

歌舞伎座『四月大歌舞伎』は、不具合が生じていた一部の座席を含め、すべての客席の安全性が下記のとおり確認されたとのことで、4月19日(土)昼の部より、通常どおり公演が再開される。
 

今般の経緯と対応状況について(松竹株式会社発表)

(1)歌舞伎座は2013年4月の新開場以来10年以上が経過し、座席部材の一部に経年劣化による性能低下の現象が確認されました。

(2)詳細を調査の上、様々な検討を続けておりましたが、14日(月)に安全性の万全を期する為には出来る限り早い対応を実施すべきとの結論に至り、当日の夜の部より公演を中止させていただきました。

(3)休演中に、すべての客席(※)の当該部材を新品に交換し、再点検を行った結果、安全性が確認出来ましたので、19 日よりの公演の再開を決定いたしました。(※構造が異なり安全性に懸念の生じていない桟敷席は除きます)

座席の不具合により、ご不便をおかけしたお客様ならびに関係各方面の皆さまに大変申し訳なく、深くお詫び申し上げる次第です。

今後も歌舞伎座が常に安心してご来場いただける劇場であり続けますよう全力を尽くしてまいります。変わらぬご愛顧の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

なお、『四月大歌舞伎』は歌舞伎座にて4月25日(金)までの上演。


寺島しのぶ「皆様の心に残るような舞台になれば」~吉柳咲良、松尾貴史ら出演の舞台『リンス・リピート ーそして、再び繰り返すー』が開幕

$
0
0


2025年4月17日(木)紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、舞台『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』が開幕した。この度、舞台写真・出演者コメントが公開された。

(左より)寺島しのぶ、吉柳咲良、松尾貴史          撮影:宮川舞子

(左より)寺島しのぶ、吉柳咲良、松尾貴史          撮影:宮川舞子

2019年にオフ・ブロードウェイの話題をさらった、舞台『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』の日本初演がついに開幕。本作は、娘・レイチェルが摂食障害を患ったことで浮彫になる、ある家族のすれ違いと苦悩、そして再生に至るまでの4日間の物語。
 
第30回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した注目の若手演出家・稲葉賀恵は、日常的な些細な会話の積み重ねによって崩壊してしまったこの家族の人間関係を深く読み解き、よりリアルかつ緻密に日本版演出を創り上げた。この家族がどういう再生の道を選び取ったのか。観客は母と娘の希望に満ちた強いメッセージを受け取るに違いない。

(左より)寺島しのぶ、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

(左より)寺島しのぶ、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

(左より)富本惣昭、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

(左より)富本惣昭、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

また、食事をテーマにした本作であるため食事のシーンが多々出てくるが、舞台上での食事はすべて本物。食べながら芝居をする俳優たちの姿にも注目していただきたい。そして、家族同士のやり取りが日常的でとてもリアルであるが故に、ある家族を覗き見しているような発見と驚きが満載となっており、登場人物たちの人間模様は観客の共感を呼ぶだろう。

(左より)松尾貴史、吉柳咲良、富本惣昭、寺島しのぶ          撮影:宮川舞子

(左より)松尾貴史、吉柳咲良、富本惣昭、寺島しのぶ          撮影:宮川舞子

移民ながら弁護士として輝かしいキャリアを築き、仕事と家庭のはざまで葛藤する母親・ジョーンを演じるのは、映像・舞台で刺激的な芝居で世界中を魅了してきた寺島しのぶ。ジョーンが持つ、実力主義社会で戦ってきた強さと、家族を大切に思いやる優しさや苦悩を、寺島は圧倒的な存在感と多才な表現で演じる。娘を愛しているものの関係を上手く築けないジョーンの姿に、哀れみと同情を感じずにはいられない。

寺島しのぶ          撮影:宮川舞子

寺島しのぶ          撮影:宮川舞子

娘のレイチェルを演じるのは、ミュージカル『ピーター・パン』『ロミオ&ジュリエット』やドラマ『ブギウギ』『光る君へ』『御上先生』への出演、映画『白雪姫』にて白雪姫役の吹き替え声優を務めるなど、注目を浴びている吉柳咲良。摂食障害から回復しつつあり、愛する家族とともに生きようとするレイチェルの複雑で繊細な心情を、セリフの奥にある真意を読み解くことで丁寧に観客に届ける。「レイチェルと似たような感覚がある」と自身が語るように、母と娘の関係のこまやかな変化を、確かな心情の裏付けによって等身大の姿で演じている。

吉柳咲良          撮影:宮川舞子

吉柳咲良          撮影:宮川舞子

そして、優しさと不器用さを持ち合わせる父のピーターを松尾貴史が演じる。娘のことを一番に考えてサポートするものの無意識のうちに家族を傷つけてしまう役どころを、ウィットに富んだ柔軟な芝居で見事に体現している。
息子・ブロディを演じるのは、多数の注目舞台や映像作品に出演し、これから更なる活躍が期待される富本惣昭。養子という複雑な背景を持つ役どころで、母と娘、そして父との関係を注意深く観察しながら、相手の言葉を受けてセリフを紡ぎ、この家族をより立体的にしている。
セラピスト・ブレンダを演じる名越志保は、情緒豊かなセリフ回しで戯曲のもつ強靭なメッセージを家族に事実を突き付け、観客を物語に引き込んでいる。

松尾貴史          撮影:宮川舞子

松尾貴史          撮影:宮川舞子

富本惣昭          撮影:宮川舞子

富本惣昭          撮影:宮川舞子

名越志保          撮影:宮川舞子

名越志保          撮影:宮川舞子

現代の米国で書かれた戯曲であるが、演出の稲葉賀恵と実力派俳優たちによって、日本の観客が大いに共感できて楽しめる演劇として仕上がり、心揺さぶられるエンディングを迎えるだろう。

(左より)寺島しのぶ、松尾貴史          撮影:宮川舞子

(左より)寺島しのぶ、松尾貴史          撮影:宮川舞子

(左より)名越志保、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

(左より)名越志保、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

(左より)寺島しのぶ、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

(左より)寺島しのぶ、吉柳咲良          撮影:宮川舞子

東京公演は2025年4月17日(木)~5月6日(火・休)紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演、その後京都にて上演予定。上演時間は2時間(休憩なし)予定。

出演者コメント

(左より)松尾貴史、寺島しのぶ、吉柳咲良

(左より)松尾貴史、寺島しのぶ、吉柳咲良

■寺島しのぶ(ジョーン役)
登場人物それぞれが複雑な思いを抱き、愛情の掛け方の違いもありハッピーなお話ではありません。舞台上には最低限の大道具しかありません。
抽象的で洗練された舞台美術の中、演出や照明他それぞれのスタッフが拘って創り上げているので美しい舞台を楽しんでいただける筈です。
家族の話なので、ご覧いただくお客様が誰かに共感していただけると思いますし
皆様の心に残るような舞台になればと願っています。
ぜひ劇場にお越しください。
 
■吉柳咲良(レイチェル役)
この作品は摂食障害の家族の物語ですごくセンシティブなテーマと捉えられがちですが、身近な題材だと思いますし、必ず共感していただけると思います。愛とエゴの線引きだったり、思いやるということの本当の意味だったり、そういうことをもう一度考えていただけるような舞台になるんじゃないかなと思います。どんな解釈でも、どんな答えでも、それが正解だと思います。観にきてくださる方のそれぞれの興味の中で舞台を楽しんでいただきながら、この作品のもつメッセージ性をしっかりと伝えられるように明日から頑張っていきたいと思います。
 
■富本惣昭(ブロディ役)
稽古開始から初日まであっという間でした。
共演者の方々は作品、人物への解釈がとても深く、毎日稽古で刺激をいただき充実していました!そして、演じる人物になろうとする姿勢に圧倒され、ワクワクもしました。
家族とは何か、家族とはどうあるべきなのか、姉弟とは何なのか。
その考えぬいた結果をお客様にお見せできるように板の上に立ちたいと思います。
必ず心に残る作品です。観劇しに来てくださるお客様に物語を丁寧にお伝えできるよう、精進いたしますので是非とも最後まで応援して頂けると嬉しいです。劇場でお待ちしております!
 
■名越志保(ブレンダ役)
ブレンダはレイチェルを見守り後押しする役です。演出の稲葉さんがブレンダの事を、舞台監督みたいな役割と言っていた事がありました。ちょっとやそっとじゃひるまない。動じない。
冷静に事態を把握して、的確に判断できる人物といったところでしょうか。
さて、今回の本物の舞台監督、大刀さん率いる優秀なスタッフが作る大量の消え物は、本当に美味しそうです。それを食べる4人の家族は日々の稽古でどんどん家族になりました。その登場人物たちを包む、なんとも摩訶不思議な空間は、音と光が混ざり合い、まるで何かの生き物みたいです。
そこに突入する異物ブレンダを、温かさと厳しさを持ち合わせたセラピストとして、そして彼女の人生で学んできた「自分で選択する事」の尊さを忘れずに演じたいと思っています。
 
■松尾貴史(ピーター役)
いよいよ初日を迎えます。稽古の段階から、このセリフを言った理由をどこまでも掘り下げて、面白いアプローチがあちらこちらからできて、取り組み甲斐のある台本でした。ご観劇いただいた方々に共感を持っていただいたり、理解を深めるために触れていただけたりするような作品です。そして、他者に対する想像力や思いやりが上辺ではなく、本当にどうすることが最善なのかを、このテーマだけでなく他の様々なことに置き換えて考えるきっかけとなる芝居ができるように臨みたいと思います。

ラッキーセベン、見る者すべてをハッピー・グルーヴの渦に巻き込む彼らの魅力の根源にせまる

$
0
0

セブンではなくてセベン。一度覚えたら忘れないバンド名、笑顔しかないメンバー写真、ジャズやソウルやロックや歌謡曲をJ-POPに昇華したキャッチーな楽曲、そして見る者すべてをハッピー・グルーヴの渦に巻き込むライブ。それがラッキーセベン。
大阪、梅田、路上発。音楽を生きがいにする6人が出会い、歩んできた道のりの集大成。4月23日リリースのファースト・アルバム『ぼくらのまま』は、スマッシュ・ヒット「ぼくらのまま」「会いたい」など既発曲の再録音に、新曲を加えた集大成的自己紹介作だ。知らない人はここから知ろう。見た目も歌もオリジナリティ溢れるボーカリスト・DaPlanetに、ラッキーセベンとはどんなバンドか?を根掘り葉掘り聞いてみよう。

――とりあえず、どの写真を見てもみんな、めちゃめちゃ笑ってるじゃないですか。

そうですね。賑やかそうでアホそうな奴らがおるなっていう感じは、すごいあると思います(笑)。

――「この中に入りたい」っていうのが第一印象です。絶対楽しいだろうって思うので。

それが第一印象として飛んでいってるのは、嬉しいっすね。たぶん僕単体で見ると、バンドの雰囲気にパッと見そぐわないというか、一人だけ持ってるカラー感がちょっと違うというか(笑)。それが僕のスタイルなんですけど、ラッキーセベンに入ったことは、僕自身も音楽的なスタイルが変わったきっかけでもあるあるんで。

――そこ、詳しく聞かせてください。

僕は元々、日本語の歌を歌うつもりがなくて、海外に行こうと思ってたんですよ。そのタイミングでコロナになって、どうしようかと思ってる時に「大阪で面白いセッション・バーがあるらしいよ」みたいな話を聞いて、行ったら、そこでドラムのゆうしゅんとベースの篤生と出会って。ゆうしゅんはドラムを始めて3、4か月でセッションに来てて、「こいつ根性あるな」と。エイトビートしか叩けないのに。

――それは根性ある(笑)。

「こいつ、何か秘めてるものがありそうやな」みたいな。僕自身、J-POPをバンドとしてやるなんて思いもしてなくて、でもゆうしゅんと初めて会った時に「俺ら、いつかバンドやりそうやな」みたいな話をちょろっとしていて。そこからから2、3年の時を経て、実際バンドを組むみたいな。

――ドラマですねぇ。

ゆうしゅんも、海外に行って帰ってきたところだったんですよ。コロナがきっかけで。だからコロナがなかったら、たぶん出会ってなかったんだろうなって思います。これも縁やなって思います。

――そのセッション・バーって面白いですね。始めて3、4か月のドラマーもステージに上がれちゃう。

ゆうしゅんにはジャズ・ドラマーの師匠がいて、その人が「ステージに行ってガンガンやってこい」っていう感じだったみたいです。そのバーでセッションを開いてるグループがいて、その人たちと演奏したいっていうミュージシャンがこぞって集まる感じなんですけど。

――オープンマイクですね。いわゆる。

そんな感じです。僕もそのグループの人に話しかけられて、「なんかやってはるんですか」「特になんもやってないですけど、歌ぐらいやったら歌います」「ほんなら歌ってや」みたいなんで、歌ってたら、最前列で飛び跳ねてたのがゆうしゅんでした。なんか、歌が良かったみたいで。

――いい雰囲気。東京にはあんまりない場所かも。

ゆうしゅんも、師匠が言うから出たっていうところはあったみたいですけど。ドラマーとしてすごい人なんで。橋本現輝さんって言うんですけど、上原ひろみさんと一緒にやってたり、『BLUE GIANT』の映画に参加されたミュージシャンと同世代の仲良しみたいな感じで。なんか結構、思ってるよりすごい人が周りにいますね、そう考えると。

――みなさん師匠がいるんですかね。

そうなんですよ。なんか面白いっすよね。そこに、何者でもない僕が加わってるのが(笑)。

――そんなことないですけど。あなたに師匠はいないのですか。

僕はいないっすね。よく聴いてたっていう意味で、海外の名だたるミュージシャンたちが、たぶん師匠に当たるんでしょうけど。ネオソウルが好きで、ディアンジェロ、エリカ・バドゥとか、特にボーカリストとして一番のきっかけはアリシア・キーズかな。父がアリシアのライブDVDを、幼稚園か小1ぐらいの時に買ってきて、それを見た時に今まで感じたことのない感動を覚えて、「何これ、すげぇ!」ってなってから、虜になってます。基本、ずっとそこで育ってきてますね。

――なるほど。でもあれですよね、R&Bっぽいフェイクを入れるとか、ソウルフルに歌い上げるとか、そういうタイプじゃないですよね。飾らない、ストレートに生の声を聴かせるタイプというか。

歌唱自慢の感じが、あんまり好きではないので。たぶん今のJ-POP界隈というか、日本の歌い手の現状で、ロー・ボイスの出方がいい人って、あんまりいない印象があるんですよ。ハイトーンを聴かせる人は多いですけど、それって声に魅力があるとはまたちょっと違う気がしてて。僕はソウル味がある歌い方をしたいから、憧れの対象がそっち側やったから、こうなったみたいな感じです。

――で、ラッキーセベンの曲にはJ-POPの要素もあるから、自然にこうなったと。

そうですね。

DaPlanet(Vo)

DaPlanet(Vo)

――化学反応ですね。このバンドじゃなきゃこの歌にはならなかったかもしれない。

今考えても、普通に生活してたら、交わってこなかった子たちなので。今バンドやって、みんな仲良くやってんのって、なんかすごいなって自分でも思いますね。人生ってほんまに何があるかわからんなと思います。

――何だと思います? 6人を結びつけてるものって。音楽性なのか、人間性なのか、共通の目標があるからなのか。

たぶん芯にあるのは、「日本の音楽業界をひっくり返そう」だと思います。メンバーみんながっていうわけじゃないかもですけど、音楽が商業的であることを、僕はすごい好まないんで。もっと芸術的であってほしいし。バンドだからって、結局注目されるのはボーカリストだけみたいなのも、音楽が好きな人間として腑に落ちない部分があって。それぞれのピースがあってボーカリストは生きるもんやし、ラッキーセベンっていうものは、みんなが顔として、ソロでもその人に焦点が当たるようにしてるんですね。

――ですね。

もちろん売れたいけど、売れりゃなんでもいいわけじゃなくて。売れてから言えっていう話かもしれないですけど、商業的な音楽の出来方が嫌いなんで、このままのやり方で、上り詰めるところまで上り詰めて、「音楽ってこういうもんだよ」って言いたいです。音を楽しむって書いて音楽である通り、もっと自由に楽しんだらいいんじゃない?っていうことを、世の中に提示できたらいいんかなって思ってます。

――じゃあ、あれだ、今年フジロックに来るヴルフペックとか、たぶん好きでしょう。

好きです。今年のフジロックはヤバいですね。山下達郎さんも出るし、エズラ・コレクティヴも出る。俺ら、何で呼ばれてないん?(笑) 呼んでくれよー(笑)。

――まだ間に合いますよ。ここからここから。

でも、いいっすよね。ヴルフペックとか見てると、夢あるなーって思います。ライブ見てても、お客さんが死ぬほど楽しそうで。本人たちが楽しそうなんが、一番でかいと思うんですけど。

――ラッキーセベンが目指すのも、そこじゃないですか。インディーで、DIYで、頂点を目指す。

そうですね。まず自分たちが、全力で音楽をすることを第一においてライブをするというか、お客さんも含めてみんなで一緒に音楽を作っていけたらいいなと思います。ひとくくりにしたら良くないですけど、日本のミュージシャンって、クールを気取ってやったりする人が多いじゃないですか。でもうちのギターとか、ほんまにアヘ顔みたいなんとか、大衆の前で晒しまくってるんで。

――ギターのゆうとさんは、どの写真を見てもいい顔してる(笑)。求められることをわかってる。

たとえばジョン・メイヤーとか、白目むきながらギター弾いてたりとか、楽器に対して真摯に向き合う姿勢がすごいじゃないですか。ラッキーセベンのメンバーは、入口がジャズとかソウルとかだったからこそ、ポップスの人らにはあんまりないスタイルになってるのかな?っていうのは思います。海外の音楽をやってる人たちは、ドラム叩きながらめっちゃニコニコしてるとか、自然にそういうのをやっていて、そういうのがいいなって僕は思いますね。

――ゆうとさんのギターソロとか、これは白目むいて弾いてるなって、音源で聴いてもわかりますね(笑)。「YADA」のソロとか、めちゃくちゃブルージーでかっこいい。

この若さでって考えたら恐ろしいですね(笑)。ゆうとのギター、こいつはすげぇわって思います。説得力があって、こだわりも詰まってるから。嬉しいですね、こういう奴と一緒に音楽やれてることが。ゆうとは、自分の好きなギタリストがはっきりあるけど、だんだんとポップスのギタリストとしてアジャストしていってる感じはありますね。耳に残るキャッチーなフレーズを弾くのが、すごい上手やなって思います。

――せっかくだから、メンバー全員褒めちゃいましょうよ。サックスのフォニファイ康平さんは?

康平も、ゆうしゅんと同じぐらいの時期にサックスを始めてるんですよ。二人は淡路島で高校の同級生で、シンプルに仲が良くて。康平がサックスを始めたきっかけは『BLUE GIANT』なんですけど、ゆうしゅんと一緒に楽器屋さんにサックスを見に行って、試奏してた人にゆうしゅんが声かけたらしいんですよ。そこで「今日セッションがあるから来ない?」って言われて、ジャズのセッションを見に行ったのが、二人が音楽を始めるきっかけになったらしいです。二人ともサックスをやりたかったみたいですけど、ゆうしゅんはドラムの人を見て「かっこいい」と思って、いい師匠がいるからって紹介してもらったのが、橋本現輝さん。

――なるほど。

康平は、言ってしまえばまだまだなんですよね。吹奏楽とかで基礎を叩き込まれる瞬間を過ごしてないんで。アンブシュア(口の周りの筋肉の使い方)から始まってるんで。でもだいぶ変わりました。ラッキーセベンをやるってなった時に、サックスが康平でいいのか?みたいな話は何回も出てて、みんな本気で音楽が好きやからこそ、いいプレイヤーじゃないとっていうところもあったんですけど、「お前が死ぬ気で頑張ったらそれでいい」みたいなことで、必死に頑張ってくれて、今も頑張ってます。だから初期の頃に比べると、びっくりするぐらい良くなってますね。一番成長を感じるのは康平です。

DaPlanet(Vo)

DaPlanet(Vo)

――アルバムのラスト、「東京」のサックスソロ、最高ですよ。

ゆうしゅんは、テクニシャンじゃないんですけど、ただただエイトビートをずっと刻む、グルーヴの良さがピカイチで。そこに関しては「俺はお前にはかなわへん」って師匠が言ってるぐらいで。僕がゆうしゅんに対してすごい魅力やなって思うのが、彼の人間性がドラムに乗っかってるというか、ブルーハーツが好きで、パンクとかロックンロールが大好きで、小手先じゃないところでドラムと向き合ってるがゆえに、聴いてて泣きそうなる時があるんですよね。

――そうか。パンク好きだから、「まほうびん」みたいな曲がよく似合うのか。

そうですね。「まほうびん」は、ゆうしゅんが初めて書いた曲です。ゆうしゅんが友達の結婚式に行って、その光景が「美しすぎて言葉にできひんわ」みたいな話をネギにしたら、「もうそれ、曲やん」って言われて、「まほうびん」ができたっていう。ちょっとロマンチックですよね。

――ゆうしゅんさんも、曲を書くんですね。

そうです。このアルバムで言うと、「it’s time of LUCKY SEBEN」「たまらず踊り出す」「Hey You」「どんとこい」「Goodな夜を」「まほうびん」「笑えてくるよな」ですね。それはゆうしゅんが書いてます。

――ネギさん曲とうまく馴染んでます。

ファーストEPが出た時は、ネギしか曲を書けなかったんですけど、ゆうしゅんが「曲を書きたい」ってなって、ネギと一緒に時間を過ごして、書けるようになったので。作曲の仕方も、ギターとベースと僕とサックスで楽曲の雰囲気を作って、そこに合いそうな詞を書いてくるわって、書いてきてくれたり、いろんな形で音楽を生み出そうとしてます。楽しいですね、制作をやってる時は。

――素晴らしい。ベースの篤生さんは?

篤生は、初めて見た時にうますぎて衝撃やったんすよ。びっくりしました。海外のR&Bとか、ベースに重きを置かれてることが多くて、色気がすごいんですよ。そういうのが好きだったから、初めて行ったセッションで篤生が弾いてるのを見て、年下なのにこんなやつおるん?みたいな、なんか気持ち悪かったんですよね(笑)。その時たぶん21歳とかで、そういうベースを弾きそうな雰囲気も持ってないのに、誰よりも音に対するフィーリングとか、グルーヴとかリズムの良さが抜けてたんですよね。一番最初に衝撃やったのは篤生です。

――素敵なメンバー。今はこの6人で、「ポップスをやる」「歌ものをやる」ということでまとまっているわけですか。

そうですね。結局歌ものなんで、そこはブレたらダメやなって思ってます。ただ僕自身は、楽器に対するリスペクトがでかいがゆえに、「しょせん歌」って思ってるんですけどね。でもバンドとして勝負するなら、やっぱり歌にフォーカスを当てて楽曲制作していかないとなっていうのは、みんなで話します。個人的には、日本語と英語はリズムが全然違うんで、日本語のグルーヴを掴むのが最初はめっちゃ難しかったです。でもその中で「YADA」だけは得意やったんですよ。

DaPlanet(Vo)

DaPlanet(Vo)

――「YADA」は、バンドを組んで最初のオリジナル曲ですよね。

そうです。スタジオでみんなで初めて集まった時に、「とりあえずセッションしようか」って、アリシア・キーズの「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」をやって。その帰り道にネギからみんなにLINEが届いて、「曲できた」って。「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」のコードの感じとかを使ってできたのが「YADA」です。1曲目がこれっていうのも、すごいですよね。

――激シブですよ。若いのにこんなのやる?みたいな。

たぶん、ネギから見た僕たちの色がこれだったんだろうなっていうのも思いますし、「YADA」はハチロク(6/8拍子)のリズムで、日本の音楽にはあまりないリズムのイメージなんですけど、僕としては馴染みがあったんで、入り口としてはめっちゃ入りやすかったんですね。でも「Something」とかは、めっちゃ難しかった。アップテンポの、日本語がぎゅってなってる感じがあって、「もうちょっと伸び伸びしたほうが良くない?」みたいな。日本語の歌詞って、詰め込まれてるイメージがすごいあって、ちゃんと言わなあかんし、「なんか忙しい」って感じがします(笑)。

――そこから3年近く時間を過ごして、シングルも出して、EPも3枚出して。そこから厳選した曲に、新曲を加えたファースト・アルバムが『ぼくらのまま』。結成以降の楽曲の、集大成っていう感じですか。

そうですね。やし、バンド自体もレベルが上がってるから、全部入れるなら録り直したいっていうのがあって、去年の10月にリリースされた曲以外は全部録り直してます。アルバムで出すってなったら「もっと良くできるやろ」って。

――どんなファースト・アルバムですか。手応えは?

3年ぐらいの月日をみんなで過ごして、元々のルーツが全然違う中で、それがポップスとしてうまく昇華されてるのが、たぶんこのファースト・アルバムなんじゃないんかな?とは思います。いろんなカラーの楽曲があって、ひとくくりにできないぐらい幅がすごいと思うんで。

――青春パンクもあれば、スカもあれば。

ポップスもあってファンクもあって。

――バラードっぽいのもあれば。

歌謡曲みたいなんもあるし。そういうのをうまい具合に、ラッキーセベンの色としてJ-POPに昇華できたのが、このファースト・アルバムじゃないんかな?っていう、そういう意味でも現段階では集大成ですね。どれが好きでした?

――うん? えっと、この紙資料にマルを付けちゃったけど(笑)。「会いたい」「Goodな夜を」「笑えてくるよな」「東京」とか。

ああー。はいはい。

――恋愛曲が好きですね。歌詞がすごくリアルで沁みるんで。

「笑えてくるよな」と「東京」にマルが付いてるの、めっちゃ嬉しいっす。裏側の話なんですけど、新曲3曲のうちのリード曲が「Doki Doki」なんですね。ただ個人的に、ラッキーセベンを内側から見ると、「笑えてくるよな」がめっちゃ僕ららしいカラーで、いいふうに昇華できてるなっていうのがあるんですけど、たぶん今のお客さんの客層から見たラッキーセベンは「Doki Doki」なんですよね。

――もちろん「Doki Doki」もいいですよ。好き。

ただ僕らの感覚的には、「笑えてくるよな」とか「東京」をプッシュしたいぐらいなんですよね。いや、ちょっとこれみんなに言っときます。みんな喜ぶと思うんで。

――言っといてください(笑)。「笑えてくるよな」が好きなライターがいたぞって。

「Goodな夜を」は、ゆうしゅんが喜ぶと思います。

――「Goodな夜を」は詞とメロディのハマリが絶妙なんですよね。すごくキャッチー。

喜びますよ。ネギが書いた「会いたい」とかも、やっぱすごいですけどね、こんな曲書かれへんわって思います。ネギの才能は、「ぼくらのまま」とかもそうですし、いろんな曲にあるんですけど、でもやっぱ「会いたい」の、♪心も体もズタボロさって、あんなんどないして書いてんやろ?って。ほんまにすごい。

――ブルースとかソウルには、情けない男心をさらけだす歌って、けっこうあるけれど。それを日本語でやると、ちょっと難しいじゃないですか。

うん、だからそれをポップスに昇華してんのが面白いなって思います。

――シュウタネギさんってどんな人ですか。去年の暮れに、ライブ活動からは退くことを正式に表明して、今後はソングライターとしてバンドに関わることになりましたけど。

めっちゃ変な奴です(笑)。バンドやりたいからって、学校行ってなくて、大学を8回生ぐらいまで行ってたし。たぶん、気分で生きてる人だとは思うんですけど、今回、一旦ステージを降りるっていう決断をしたのも、前からそういう感じやったみたいなんですよね。昔からネギのことを知ってる人たちと、この間対バンがあって、「ネギちゃん元気なん?」って言われて、今回こういうことになりましたって言ったら、「ネギちゃん相変わらずやな」みたいな感じやったから(笑)。

――マイペース。自分の感覚で人生の選択をする男ですかね。

一般的価値観で言う常識みたいなものが、まるで通用しない人間なんで。

――ある意味強い人。

そうですね。たぶん自分の世界で生きてるんやと思うんですけど。一言で言うのはなかなか難しいです。妖精みたいな生き物なんで。

――妖精(笑)。彼の何がすごいですか。詞ですか、メロディですか。

どっちもですね。難しいことは全然しないんですけど、彼自身、歌謡曲とかがすごい好きなんで、昔懐かしさみたいなのがメロディに詰め込まれてたり。歌謡曲の時代って、日本の音楽業界がすごい頑張ってたイメージがあるんですよね。

――というと?

歌謡曲とか、そのあとのシティポップとか。それこそ山下達郎さんとかも、海外の音楽に影響を受けて、もちろん表立って聴こえてくるのは歌なんですけど、楽曲的にすごい凝ったことをしていて、そういう昔の音楽を聴いた時に「こんなことやってたんや」って思うんで。そういう昔の懐かしさみたいなのが、たぶん彼の作るメロディのおいしさやったりするんじゃないんかな?とは思いますね。

DaPlanet(Vo)

DaPlanet(Vo)

――去年の1月でしたっけ、「関ジャム完全燃SHOW」(現「EIGHT-JAM」)で「ぼくらのまま」が取り上げられて話題になって。そこでラッキーセベンを知った人も、その後のフェスとかで知った人もいて、さらにこのファースト・アルバムで初めて知る人も、きっと多いと思うので。いろんな人に届けたいですか。

いろんな人に届いてほしいなと思います。まだまだ日本の音楽、腐ってないぞと言いたいですね。

――そして、ライブに来てほしい。

そうですね。僕らは絶対、ライブに来るのが正解なバンドやと思うんで。もちろん音源映えする楽曲もあるとは思うんですけど、やっぱりライブっすね。みんなの表情だったり、ステージで音楽を通して生きてることを、実感しながらやってるんで。こっちが全力で楽しめば、見てて楽しいやろうし、聴いてても楽しいと思えるバンドなんじゃないんかな?って、自分で言うのは気持ち悪いんですけど、そう思いますね。やっぱりライブにすごいおいしさがあると思うんで、ぜひ皆さんには、ライブハウスにお越しいただけたらなと思います。

――あれ、何の歌詞でしたっけ。♪僕たちの、音楽で、あなたを笑顔にしたいだけ。「どんとこい」か。やっぱりそれじゃないですか、ラッキーセベンの本質って。

あの歌詞を考えるのにみんなで話し合いました。最後はゆうしゅんが「僕たちの音楽であなたを笑顔にしたいだけ」というワードを閃いて、めちゃくちゃいいやんと! やっぱ音楽って、みんなに対して届けようとしてやるもんじゃないというか、規模が大きかろうがちっちゃかろうが、一人に対して届けようとするものが全部に広がっていくイメージがあるので、「あなたを」というワードが聴いてる本人に刺さるやろうしって、この歌詞になりました。

――すごく象徴的な一行ですよ。

最初にできた時、爆笑しました。三三七拍子で、♪僕たちの、音楽で、あなたを笑顔にしたいだけ!って(笑)。初めてライブでやる時にも、面白さみたいなのはすごい感じてましたよ。「これを全力でやってんの、めっちゃアホやん俺ら」みたいな(笑)。

――そこがいいんです。

そう。それで刺さってる人も、たぶんいると思うんで。

――アルバムの中には、ほかにもいい歌詞、いいメロディ、いい演奏、いっぱいあるんで。みなさん、お好きな曲をぜひ。

どれか1曲は、絶対刺さる曲があると思います。

――アルバムを出して、このあとはツアーですか。

そうです。今までよりもいっぱい回るので、ぜひ来てほしいです。

――今日はありがとうございました。でも、あれですね、こんなにメンバーのことを好き好きって言ってるインタビューって、珍しいかもしれない(笑)。

そうですか(笑)。でもほんま、死ぬほど仲いいですね。結成してからずっとこんな感じなんですけど、「昔からの知り合いじゃないの?」ってすごい言われます。そういうふうに映ってるのは、めっちゃ嬉しいですね。僕らは仲良くてふざけ合ってるだけなんですけど、でも、そうですね、それぞれがメンバーに対して愛みたいなものを、人間として持ってる人たちが集まってるがゆえに、そういう雰囲気が出てるんかな?と思います。


取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希

DaPlanet(Vo)

DaPlanet(Vo)

『トップガン マーベリック シネマコンサート』の開催が決定

$
0
0


『トップガン マーヴェリック シネマコンサート』が2025年8月14日(木)に東京国際フォーラム ホールAにて日本初開催されることが決定した。

日本では2022年5月に公開され、興行収入が驚異の137億円を突破した映画『トップガン マーヴェリック』。この年の国内映画興行収入ランキングでは、2位と大きな差をつけ、洋画部門第1位を獲得。全世界ではトム・クルーズのキャリア最高額となる10億ドル超えの大ヒットを記録。まさに映画史に名を刻む伝説の作品となり、世界中を熱狂させた。

そんな歴史的大ヒット作品をオーケストラの極上の生演奏とともに大スクリーンで上映し、イギリスやドイツをはじめ全世界10都市以上で大好評を博しているのが『トップガン マーヴェリック シネマコンサート』だ。2024年にロイヤル・アルバート・ホール(イギリス・ロンドン)で開催された際には、トム・クルーズがサプライズ登場し、「オーケストラの皆さんの素晴らしい才能に感謝したい。このような作品を古典映画の宮殿のような壮大な空間で満員の観客を前にして、映像とシンクロしたフルオーケストラの生演奏と共に体験したいとずっと思っていた。その夢をかなえてくれてありがとう。」と語った。(本コンサートでのキャスト登壇はなし)

今回の日本公演での指揮者には、「ディズニー・オン・クラシック」やアニメ「ゴールデンカムイ」のオーケストラコンサート「GOLDEN KAMUY ORCHESTRA CONCERT 2024」なども担当した辻博之を迎え、映画『トップガン マーヴェリック』を大スクリーンでの映画全編上映 ×オーケストラによる大迫力の生演奏で届ける。

VELLUDO、ファーストアルバム『Between The Lines』カラーヴァイナルでLPレコード化 同世代バンドを招いた自主企画ライブを東京・大阪で開催

$
0
0


沖野俊太郎、小山田圭吾を中心として結成された4人組ネオサイケバンド・VELLUDOのデビュー作『Between The Lines』がカラーヴァイナルでLPレコード化。

『Between The Lines』

『Between The Lines』

また、6月には東京・大阪で自主企画ライブも開催することが決定した。同世代バンドとの2マンライブとなっており、東京公演はdip、大阪公演はDebonaireが出演する。なお、LPレコードは会場先行発売となっている。

渋谷クラブクアトロ公演(2024年12月7日)の模様を収めたライブ動画「Speak Like」がYouTubeで公開中。

 

『EBISU Bloomin’ JAZZ GARDEN 2025』ラモス瑠偉とファビアナによる伝統のサンバ・パーティーなど、全35プログラムを発表

$
0
0


昨年、東京都渋谷区・目黒区の恵比寿ガーデンプレイス開業30周年を記念し、上質な「音楽」と「食」をメインに、都会のピクニック気分を楽しめるイベントとして初開催した『EBISU Bloomin’ JAZZ GARDEN』。今年は「EBISU×MUSIC×BEER×CULTURE」をテーマに、再び恵比寿ガーデンプレイス全域にて3日間で開催される。

全35プログラム発表

日本サッカー界のレジェンド・ラモス瑠偉とシンガー・ファビアナによる伝統のサンバ・パーティー、松田ゆう姫のテクノ・ユニット×表現者アオイヤマダがライブ共演&映画上映、近年充実の活動に注目度が増す話題のオルタナティブ・ロックバンド Luby Sparks、村本大輔(ウーマンラッシュアワー)のスタンダップコメディー×ジャズ・ピアニスト桑原あいの予測不能な初共演など、個性溢れるラインナップが目白押し。さらに、WONKが「セルフカバーライブ」のスペシャル・ステージを発表。

ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム、BLUE NOTE PLACEでのライブに加え、入場無料エリアはセンター広場、時計広場、そして今年から新たにYEBISU BREWERY TOKYOまでエリアを拡大。各ステージでは、著名アーティストから若手アーティストまで、多ジャンルの生演奏ライブやDJプレイなど、バラエティ豊かな音楽を楽しむことができる。フリーエリアだけでも充実のコンテンツとラインナップとなっている。

出演者一覧

出演者一覧


開催まであと1か月となり、盛り上がりを増す『EBISU Bloomin’ JAZZ GARDEN』。今回新たに、最終日を飾る5月18日(日)にザ・ガーデンルーム(RED STAGE)で「パゴージ・ド・ラモス featuring ファビアナ 〜日本ブラジル友好130周年・伝統のサンバ・パーティー~」の招致が決定。さらに、BLUE NOTE PLACE(BLUE STAGE)に追加出演者5組と、時計広場(WHITE SQUARE)にDJ seaの出演も発表した。

また、5月17日(土)ザ・ガーデンホール(YELLOW STAGE)で開催するWONK公演の詳細も明らかになり、12年の軌跡を回顧する稀少な「セルフカバーライブ」となることが発表された。これまでに手掛けた香取慎吾、稲垣吾郎、和田アキ子、iriなど他アーティストへの提供楽曲も披露する予定で、このライブは「EBISU Bloomin’ JAZZ GARDEN」に向けた特別企画となる。今回の発表をもって、全35プログラムが出揃った。
 

・5月18日(日) ザ・ガーデンルーム(RED STAGE)
パゴージ・ド・ラモス featuring ファビアナ 〜日本ブラジル友好130周年・伝統のサンバ・パーティー〜
 5月18日(日) 16:30開場/17:30開演

2025年は日本ブラジル友好交流年(外交関係樹立130周年)であることを記念して、日本サッカー界のみならず、プロスポーツ界でも功績を残し、現在も競技活動以外にもパラ応援大使(パラスポーツ・バリアフリー応援大使)、コメンテーター、タレント、教育など様々な分野で活躍中のラモス瑠偉。そして、ラテンの血を受け継ぐ感性と独特のファルセット、リズム感を持ち合わせたシンガーのファビアナが主催する伝統のパゴージ=サンバ・パーティー『パゴージ・ド・ラモス featuring ファビアナ 〜日本ブラジル友好130周年・伝統のサンバ・パーティー〜』。本公演のチケットは、本日・4月17日(木)18時より一般発売がスタート。

ラモス瑠偉

ラモス瑠偉

ファビアナ

ファビアナ


・5月17日(土) BLUE NOTE PLACE(BLUE STAGE)
夜公演:Young Juvenile Youth with special guest Aoi Yamada "NIGEMIZU" 〜LIVE & プレミア上映〜
5月17日(土) 18:00開場/19:00開演

松田ゆう姫のエレクトロニック・ミュージックユニット「Young Juvenile Youth」が再始動!10代を常にYJYのサウンドとともに過ごしたという「表現者」アオイヤマダがパフォーマンスで共演するほか、2人が織りなす話題のニューサスペンス映画「NIGEMIZU」のプレミア上映で、アートとエンターテインメントの融合を堪能しよう。

・5月16日(金) BLUE NOTE PLACE(BLUE STAGE)
Luby Sparks
5月16日(金)18:30開場/19:30開演

オルタナ/インディーポップ/シューゲイザーサウンドをベースにした多彩でキャッチーなサウンドと、音楽の枠にとらわれないボーダーレスな活躍に注目が集まるバンドLuby Sparksが初登場。


・5月17日(土) BLUE NOTE PLACE(BLUE STAGE)
昼公演:Good Comedy & Music Lounge 村本大輔 meets 桑原あい "Chickens"
5月17日(土) 12:00開場/13:00開演

NYを拠点に活動中、斬新なアプローチと独自の視点が常に話題を呼ぶウーマンラッシュアワーの村本大輔が繰り出すスタンダップコメディーと、LAをベースに活躍し、次世代ジャズ・シーンを牽引するピアニストの桑原あいによる予測不能のコラボレーションが実現。


・5月18日(日) BLUE NOTE PLACE(BLUE STAGE)
昼公演:es feat. Audrey Owada
5月18日(日) 12:00開場/13:00開演

渋谷発の多国籍バンドALIのサポートラッパーとしても活躍中、Hip-HopとR&Bを融合させたスタイルでオーディエンスを魅了するラッパーesが、ブラジルにルーツを持つ話題のシンガーAudrey(Vo)をゲストに迎え熱いパフォーマンスを披露。


・5月18日(日) BLUE NOTE PLACE(BLUE STAGE)
夜公演:Kona Rose with David Bryant
5月18日(日) 18:00開場/19:00開演

NYハーレム、LA、そして東京にルーツを持ち、圧倒的なボーカルとバイリンガルな世界観で魅せる最先端のR&Bステージ。

予約・詳細はBLUE NOTE PLACEオフィシャルサイトを確認しよう。


・5月17日(土) 時計広場(WHITE SQUARE)
【DJ】DJ sea
5月17日(土)出演時間:後日発表

アナログレコードに強いこだわりを持ち、JAZZYなサウンドを基調とした幅広いジャンルの選曲を得意とするDJ seaが、初夏の夕べにふさわしい温かみのあるサウンドを届ける。


・5月17日(土) ザ・ガーデンホール(YELLOW STAGE)
WONK: A Retrospective
5月17日(土) 17:00開場/18:00開演

ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ロックを横断し、日本の音楽を再定義するエクスペリメンタル・ソウルバンド、WONK。2013年の結成以来、革新的かつ鮮烈な音楽性で快進撃を続け、近年は海外アーティストとの音楽制作、交流を通じて世界とアジア、東京の音楽シーンを繋げるハブ的な存在も担っている。今回は12年の軌跡を回顧する稀少なセルフカバーライブとなり、過去の提供楽曲なども披露予定。彼らのキャリアと現在地点を最先端のサウンドで体感する特別なステージに注目しよう。


なお、他コンテンツ、タイムテーブルについては後日発表されるとのこと。

ゴールデンウイークは各地の郷土料理を食べて、行った“つもり”の全国グルメ旅へ『ジモトメシ!! ~SOUL FOOD CARNIVAL~』開催

$
0
0

4月25日(金)~4月30日(火・祝)と5月2日(金)~5月 6日(火・休)に、万博記念公園 お祭り広場・下の広場にて郷土料理が集まる食フェス『ジモトメシ!! ~SOUL FOOD CARNIVAL~』が開催される。

『大阪・関西万博』が開催中で、日本中からも海外からも数多くの観光客が訪れている食いだおれの街・大阪。日本各地の「ジモトメシ」が一堂に会し、全国の食の魅力を再発見できる。また開催期間のうち後半には、これまでにも人気ブリュワリーを集めてきたクラフトビールイベント『ビア・ブラボー!』も応援参加。各地のビールとグルメの組み合わせも提案するという。

いがめんち

いがめんち

例えば、青森からは津軽の母の味「いがめんち」が参戦。いがは津軽弁でイカの事。イカを刺身にした時に残る「ゲソ」を叩いて叩いて野菜と混ぜてジュワーっとふんわり揚げている。

焼豚卵飯

焼豚卵飯

今治名物は不動の人気を誇る焼豚卵飯。中華料理の賄い飯から始まったアイデア料理。ご飯の上に焼豚と目玉焼きと特製タレをかけたもので、黄身を崩して混ぜて食べるのがオススメ。

能登牛コロッケ

能登牛コロッケ

能登半島からは能登牛コロッケが。最高級黒毛和種としても有名の幻の和牛「能登牛」をふんだんに入れた贅沢なコロッケ。甘くて旨いとのこと。

比内地鶏の炊き込みご飯

比内地鶏の炊き込みご飯

秋田名物、日本三大美味鶏・比内地鶏の炊き込みご飯も堪能できる。贅沢に比内地鶏(ひないじどり)のガラスープで炊き上げた炊き込みご飯。旨みやコクが特徴であっさりとして上品で、ご飯の味が違うそうだ。

他にも全国のジモトメシが大集結する。詳細はHPや各種SNSで随時発表される。

チケットはイープラスにて販売中。

シソンヌじろう、池津祥子、伊勢志摩がテンション高めで想いを語る 平凡パンチライン『Wife is miracle~世界で一番アツい嫁~』インタビュー

$
0
0


大人計画所属の個性派俳優が中心となった衝撃の新企画が、ここに誕生する! 池津祥子、伊勢志摩ら共演者たちからの熱いラブコールに応えてシソンヌじろうが参加し、宮藤官九郎脚本、木野花演出で上演する、平凡パンチライン『Wife is miracle~世界で一番アツい嫁~』。物語の舞台となるのは、とある東北の田舎町。地元では名家として知られる十戸家では、お盆に合わせて家長と4人の息子たちがそれぞれ嫁を連れて集まり、近況報告をしたり愚痴をこぼしあったりするのが恒例となっていたのだが……。

今回なんといっても注目すべきは、現時点での構想ではあるが、じろうが5役を演じ分け、池津、伊勢、さらに宍戸美和公、猫背椿、中井千聖がその嫁に扮するという点。まさに、奇跡的な面白さや魅力が味わえそうだ。この期待感は出演者たちも同様に抱いている様子で、じろう、池津、伊勢がテンション高めで今作への想いを語ってくれた。

ーーまずは今回の企画のために宮藤さんが脚本を書き、木野さんが演出するというこの顔合わせが実現したことについてのご感想からお聞かせください。

池津:最高の組み合わせですよね!

伊勢:企画の段階でとにかく「笑えるけれど、ちゃんとお芝居をやりたい」というのがありまして、それだったらどなたにお願いしようか? とみんなで話していたら、お二人に引き受けていただいたけることになりました。感謝しています。

池津:その企画会議の時、私たちそれぞれが勝手に夢を語ったんです。こういうのがやりたい、ああいうのがやりたいって。それが最終的に、こんな素晴らしい形で実現することになって。本当に嬉しいです。

ーーその企画で、じろうさんにお声がかかったわけですが。依頼を受けた時、どう思われましたか。

じろう:嬉しかったですよ。

シソンヌじろう

シソンヌじろう

池津:そう言っていただけると私たちも嬉しいです。ありがとうございます。だけど、5役を演じ分けるとか、じろうさん以外は全員うちの役者だとか、まさかこんなことになるとは! と、思われているのでは?(笑)

ーーオファーされた時点で、どういう状況まで聞かれていたんですか。

じろう:出演者は女性5人と僕だけ、ということはたぶん聞いていなかったと思いますね。

伊勢:そうだったんだ。それは、かなりの騙し撃ちでしたね(笑)。

池津:私たちにとっては、一番いい形になったって感じですけれども。

じろう:いや、逆に僕もこの形で良かったなとは思っています。

ーーやりやすそうですか。

じろう:そうですね。まだ、どうなるかはわからないですけど。不安はまったくないです。

伊勢:わあ、ありがとうございます。

池津:ゲストひとりで私たちに囲まれちゃうと怖そうだとか、そんな気持ちも?

じろう:いや、全然ないです。

伊勢:オフィシャル用の、じろうさんのコメントを読んだ時、コメント自体が作品になっているかのようで、じろうさんにお願いして良かった! と心から思いましたよ。

じろう:ああ、あのスケベな妄想みたいなやつね(笑)。

伊勢:あのコメントだけで、もう、面白い! 汲み取ってもらえてるって。

池津:みんな、「ありがとうございます!」って大興奮してたもんね。私なんて、自分のコメント文が真面目過ぎて、恥ずかしくなりましたもん。

池津祥子

池津祥子

伊勢:私も、自分のことしか言ってないなって思いましたね。

ーーちなみに、じろうさんと大人計画との関係性は、どういうところにあったんでしょうか。どなたかとつながりがあったとか?

じろう:つながりという意味では、(荒川)良々さんなのかな。良々さんには、ずっと可愛がってもらっているので。シソンヌの単独ライブに毎回来ていただいてて、そのたびに、シティボーイズのきたろうさんを一緒に連れて来てくださるんですよ。だから年一回の単独ライブの後に、一緒に飲みに行くのが恒例になっているんです。そもそも僕らは「シティボーイズみたいなことをしたい」と思って上京してきたんですよね。

池津:ああ、そうだったんですか。

じろう:だけど、どういうことをすればいいのか思いつかなくて。それで、とりあえず舞台関係の雑誌を読もうということで、『演劇ぶっく』を買っていたんです。当時から、『演劇ぶっく』には大人計画とか、本多劇場の情報がたくさん載っていましたからね。自分の中でも大きい存在でしたし、実際に観に行って面白いなと思っていたので、憧れの劇団でもありました。ですから、今回大人計画のみなさんと一緒に本多劇場の舞台に立てるなんて、夢が叶ったという気持ちもあります。

ーー企画会議で、じろうさんのお名前はどういう風に出てきたんですか?

池津:私、最初からイチオシで「じろうさんがいい!」と言わせていただいていました。

伊勢:みんなも早い段階で「そうだそうだそうだ!」ってなってましたね。いつもはおとなしい宍戸さんまでもが、すごいノリノリだったんですよ。

池津:好き勝手に夢を語る場所だったんで、僭越ながら、じろうさんのお名前を出させてもらったら、みんなから一気に「じろうさん♡」って、ハートが飛び交って(笑)。

伊勢:私とかはこうしてベラベラ喋る人間なんですけど、宍戸さんってふだんからあまり喋らないのにハートマークいっぱい出してて。「おお、宍戸さんの本音を知れた!」みたいな気分になりました。

伊勢志摩

伊勢志摩

池津:「じろうさんの名前を出してくださった池津さんに感謝!」みたいなことまで言われましたから(笑)。

ーーそこまでモテモテだっていうことに関して、ご本人としては?(笑)

じろう:それこそ公式のみなさんのコメントを読んだ時に「いやいや、みんな僕のこと好き過ぎるだろ」って思いました(笑)。包み隠さず「大好きなじろうさん」とか書いてあったんで。

ーーやりやすい現場になりそうですね(笑)。

池津:もし、気持ち悪かったら言ってください、気をつけようと思います(笑)。

ーーじろうさんは現時点では不安はないとおっしゃっていますが、5役を演じることに関してはどう思われていますか。

じろう:まだ今の時点では具体的にどうなるか、見えていないので。みなさんの力を借りることになるとは思いますが、どこまでできるかは自分でも楽しみです。

伊勢:考えてみるとひどい話ですよね、ゲストとしてお呼びしておきながら、こんなに働かせるのかみたいな。

池津:でも、じろうさんならいろいろな役を演じてもらえそうだ! ということで、宮藤くんもアイディア湧きまくったんでしょうね。

伊勢:我々としても、じろうさんが出てくださるなら、せっかくだから関わりたいわけで。それで、ここまでのフル回転になったんじゃないですかね。

じろう:でも確かに、せっかくなら、という気持ちになりますよね。同じ舞台に出ていても、作品によっては一度もセリフのやりとりをせずに終わることとかもありますもんね。

池津:そうなんですよ。やっぱり、目の前で見たいじゃないですか、じろうさんがどういうお芝居をされるのか。だから絶対に「絡みたい!」って全員が思ってます(笑)。

ーーそもそも、この企画の発端はなんだったんですか。

池津:それほど大したきっかけはなくて、単に「芝居がやりたいね」と言っていたところから。

伊勢:最近「あと何年やれるかわからない」と思うようになってきて。

池津:我々も、お芝居をやるたびに体力の低下とかセリフ覚えの悪さとか感じるようになりまして(笑)。それで、ちょうどこの時期スケジュールが空いてて、芝居やりたい! って手を挙げた人たちが集まったという感じなんです。そこから、実際に動き始めて、宮藤さんが「どういう役をやりたいですか?」と聞いてくれて。

(左から)伊勢志摩、シソンヌじろう、池津祥子

(左から)伊勢志摩、シソンヌじろう、池津祥子

ーーこれまで、そういう風に聞かれたことはなかった?

池津:そう、だから戸惑いました。「そんなこと、言ってもいいんですか?」みたいな(笑)。でも、じゃあ自分は何をやりたいんだと考えた時は、ちょっと慌てましたね。、演劇人って「『欲望という名の電車』のブランチをやってみたい」とかあるじゃないですか。私、古典とかよく知らないし、そんなの考えたこともなかったから。

伊勢:あ、そうか。「私、ブランチやりたい」って、言ってみれば良かった。

池津:それはただ、言ってみたいだけでしょ(笑)。

伊勢:でも、宮藤さんだったらどういうブランチになるか、気になるじゃない。

池津:ああ確かに、伊勢ちんのブランチ、観てみたいかも。

ーーせっかくの機会だったのに(笑)。

伊勢:そうですよ、最初で最後のチャンスだったかもしれないのに。

ーーそれで、お二人は何をやりたいと希望を出したんですか。

池津:私の場合は、どういう作品が好みかを伝えるのが一番わかりやすいのかな、と思って。これまでは舞台だとわりと強い女性とかちょっと突飛な役が多めだったんですけど、今回は木野さんと初めてご一緒させていただくこともあって「じっくり芝居をやりたいです」と宮藤くんにお願いしてみたら「劇団公演ではちゃんと芝居をやってないようなことを言ってる」と言われてしまって。いやいや、私、そんなつもりで言ったんじゃないですって謝りましたけど(笑)。それで、たとえば『オリーヴ・キタリッジ』という海外ドラマに出てくる登場人物がみんな面白かったので、そういうのをやりたいです、って言いました。あと、「『真夜中のカーボーイ』のジョン・ヴォイトみたいな感じも好きです」とも。たぶん今の段階で私の役の方向性としては『真夜中のカーボーイ』のジョン・ヴォイトなんじゃないかと思っているんですけど。

伊勢:ああ、なるほど。私はたまたま『淋しいのはお前だけじゃない』という昔のドラマをDVDで観ていた時だったこともあって、そのドラマに出ている泉ピン子さんの役がすごく魅力的に見えて。夫役の西田敏行さんから、DVというわけではないんだけど頭叩かれたり、「本当にお前はダメだな」とか言われては「えへへー、ごめんね」とか言っている姿とか、なぜか焼きそばを大量に作っちゃったりするところとか。その泉さんの芝居が素晴らしすぎて「すごい!」と思ってたんです。それで、自分はガラッパチなおばちゃんの役が多いから、ああいう役を一度やってみたいんだけど、と言ってみました。だけど実を言うと、まさに宮藤さんの舞台で意外とそういう役もやってたな、とあとから思い出しました。ずいぶん前の話ですけど。

池津:あら、伊勢ちんも謝罪?(笑)

伊勢:そう、失礼しました、そういえばやってました(笑)。でもきっと、自分の中で消化できてなかったというか、宮藤さんの思っているようにはできてない、ごめんなさいって当時から思ってたんだと思います。

池津:もし、じろうさんが、宮藤くんからどんな役をやりたいですか? と聞かれたとしたら、何て言います?

じろう:うーん、何だろうな。

池津:既に、いろいろな役をやられていますよね。

じろう:そうですね。だけど僕の場合は、いつも自分がやりたいものをただやってきているんで。まだやってなさそうな役、ってことか。

(左から)伊勢志摩、シソンヌじろう、池津祥子

(左から)伊勢志摩、シソンヌじろう、池津祥子

池津:他人が書く自分がやりたい役(笑)。

じろう:ああ、そうですよね。そこの難しさは、やっぱりありますよね。何を求められてるのか、それにちゃんと自分は答えられるのか。そういう意味では、その不安はちょっとあります。人に演出される経験もほとんどないので。だから今回、木野さんの演出に僕はちゃんと答えられるのか、そこは少し不安かもしれません。

池津:私も木野さんの演出、初めてなんですよ。だから私も不安とか期待とか、いろいろあります。

伊勢:私、木野さんの演出を受けた時、帰り道にちょっと泣いたことがあります。

じろう:へぇ~! 

池津:怒られたわけじゃないでしょう?(笑)

伊勢:そうそう、もちろん怒ってるわけじゃないんです。自分ができなくて。

池津:役者の気持ちを盛り上げてくれてる。ハッパかけてくれてるんですよね。私の勝手なイメージとしては、一緒に闘ってくれる演出家だと思っています。

ーーみなさんが「じろうさん大好き」と公言されているわけですが、ちなみに池津さんと伊勢さんは、具体的にはどういうところに魅かれていらっしゃるのでしょうか。

伊勢:私は、マニアみたいに詳しいわけではなくて、普通にライブの映像を見たりしているくらいなんですけど。とにかく、シソンヌのお二人は芝居が本当にうまいので、頭が下がるというか。

ーー頭が下がる?(笑)

伊勢:はい。その上、じろうさんはネタもご自身でお書きになるし。かないませんよ……って、かなうってなんだ? って気もしますけど(笑)。ともかく、すごいな!! と思っています。

じろう:ありがとうございます(笑)。

伊勢:本当に頭が下がりますよ。つい最近も私、自分って演技の引き出しが一個しかないんだなと心から思ったところなんです。「この芝居しかできないじゃん」、みたいな。だからじろうさんみたいに引き出しをいっぱい持っている人って、脳内の構造がどうなっているんだろう? と思っていまして。

ーーそれで、頭が下がると。

伊勢:と、しか言えないです(笑)。

伊勢志摩

伊勢志摩

ーー池津さんは、いかがですか。

池津:私、実はじろうさんと下北沢の飲み屋でお会いしたことがあって。

じろう:はい、そうでしたね。

池津:もちろん、テレビや映像でコントを見たことはありますけど、ナマのじろうさんにお会いするのはその時が初めてで。とても優しい喋り方をする人だなあと思いました。

じろう:アハハハ!

池津:コントで演じられるキャラクターで好きなのや、好きなネタもいろいろありますけど、なんだか泣けてくるネタとかもあるじゃないですか。

じろう:あ〜、はいはい。時々、「泣ける」って言われるんですけど、自分としてはあまりそういうつもりで作ってはいないんですよ。お葬式のネタとか、でしょ?

池津:そう! お兄さんが第一声で「ウワァー」って叫んだ瞬間に泣きましたもん、私。「こういうことあるよね」って、すごく思えて。コントだから、もちろんたくさん笑うんですけど、笑いながら泣けるところがすごい。お芝居でも難しいじゃないですか、泣かせるのも笑わせるのも。

じろう:でもホント、見ている人が泣くというのは自分としては計算外なんです。

池津:え、そうなんですか。あんなに序盤から泣けるのに。

伊勢:そういえば宮藤さんもよく「みんなが泣けたって言うんだけど、全然意味がわからない」とか言ってますね。

ーー下手に狙わないほうがいいものなのかも?

じろう:そうかもしれないです。

池津:きっと、私の記憶にある人物と重なったということなんだと思います。だからリアリティがある。それで「ああ、わかる、この風景!」って思えるんじゃないかな。

伊勢:そうか、記憶ね。年をとるといろんなことを経験しているから、それを思い出してしまう。

池津:もちろん、泣かずに単純に笑う人だっているんです。たぶん、お葬式に出た経験がない若い方やお子さんとかだと、ただただゲラゲラ笑えるのかもしれない。

伊勢:年をとるといろんなことを経験しているから、それを思い出してしまう。

池津:お葬式に出る回数自体も多くなってきているからね。

ーーそれが増えていくにつれ、泣けることも多い。

池津:その情景が自然と目の前にバーッと広がっちゃう。すると、ああやって悲しみのあまりトンチンカンになっている人とか「うん、確かにいますね!」と思えるので。

じろう:そういえば僕ら、お葬式のネタがすごく多いんです。田舎で、子供の頃からお葬式に何度も出ていた記憶があって。

池津:そうか。田舎は出る機会が多いかもしれないですね。

伊勢:なるほど、なるほど。

じろう:法事は悲しいというよりも、親戚が大勢集まってお菓子がいっぱい食べられる、むしろ楽しい行事として子供の頃は認識していたのかも。

ーーちょっと、お祭りみたいな感覚が確かにあります。

池津:親戚のおじさんが酔っ払って暴れちゃったりとかね(笑)。企画会議でみんなで話していた時も、そういう話で盛り上がってました。今回、昔ながらの地方の名家のお話になりそうなので。

池津祥子

池津祥子

ーーまた、今回は大人計画の女優さんばかりが5人も集まるわけなので、劇団員同士ならでは、みたいな部分もあったりするのでしょうか。

池津:このくらいの人数でお芝居するのが久しぶりだし、会議の時にそれぞれの好みをすごい勢いで喋っていたおかげで、みんなが興味あるもの、面白いと思うことを知ることができましたし。

ーー改めてそういうことを語る機会って、なさそうですよね。

伊勢:ないですねえ(笑)。

池津:このメンバーで、稽古場でがっつり芝居ができるんだと思うとものすごく楽しみです。

伊勢:そうですよね。私、なぜかさっきから宍戸さんの話ばっかりしてる気がするけど(笑)、特に「宍戸さんって、こんなこと考えてたんだ!」とか「こんなこと言うんだ?」って、今回ものすごく新鮮だったんです。だって、宍戸さんって本当にしゃべらない人で、楽屋でもいつも静かに笑っているだけなので。こんなに付き合い長いのに、面白い人だよなあってしみじみ思いました(笑)。それに、今回は確かにそれほど大人数じゃないから、稽古場でもそういうみんなの新鮮な一面が垣間見れるのかもしれないですね。このメンバーでは、中井さんと舞台を一緒にやるのは私は初めてなので。

池津:あ、私も初めてですよ!

伊勢:ひとりだけかなり年下なので(笑)。中井ちゃんがどんな人なのか、稽古場で観察できることも楽しみです。

ーーそして、改めてじろうさんとしては演劇に出ることについての楽しみと、難しいと思っていることはどんなことでしょうか。

じろう:実は、演劇に出る! という感覚は今回あまり持っていないんです。ただ、舞台に立って面白いことする、というくらいで。それに、人から演出をつけてもらう経験もほとんどないから、自分で出した意見に「全然違う」と言われた時、自分が果たしてどうなるのか……。

池津:どうしよう? 帰り道で泣いていたら。

一同:(笑)。

じろう:その時は、慰めてください。

伊勢:木野さんも、そこまで厳しいこと、じろうさんには言わないと思います。あまりにも、みんながめちゃくちゃな方向に走っちゃってるとかでなければ、そんなに激しい言葉は出て来ないはず。だけど、ちょっとハッタリかましてほしいな、なんて期待もあったりします(笑)。

ーーじろうさんは、叱られてみたいですか?

じろう:そういう気持ちも、実はちょっとあります(笑)。

シソンヌじろう

シソンヌじろう

ーー今さら、叱られることなんて、ないですよね。

じろう:ないですよ。しかも僕は、芸人の中でも特に先輩に怒られないほうなので。そもそも、あまり悪目立ちしないタイプですから。

伊勢:そうですよ。怒るところなんて、なさそうですもん。

じろう:いや、だけど「帰れ!」って言われて「イヤですっ、帰りません!」とか言ってみたい。

伊勢:アハハハ、なるほど(笑)。

じろう:「イヤですっ、私は帰りません!」 「帰れ! 帰れって言ってんだよ!!」とか、大いにやり合いたいですねえ。

伊勢:それはそれで面白そう! ぜひ、そこのタイミングでちょこっと泣いてほしいなあ(笑)。

ーーでは、この舞台に興味をお持ちのお客さんに向けてメッセージをいただけたらなと思います。

池津:会議をやり出した初期の頃からもうずーっと楽しいままで、ここまでたどりついた公演なので。さらにこれを上回るような状態にして、お客様にお届けしたいなと思っております。ぜひ、劇場にお越しください。

伊勢:今回はじろうさんをゲストにお呼びしているので、まずはめったにない化学反応を……って、かっこ悪い言い回しですが(笑)。でもホント、この集団の中に一人だけ違う場所から入られるわけですから、その瞬間のお互いの反応は絶対に何かあるはずですから。そこを見逃さないでほしいです。

ーー最後にじろうさんからも、一言お願いします。

じろう:とにかく僕は、共演者の方々からここまで「面白いやつだ」と思っていただいているので。これが本番が終わる頃に「アイツ、あんまりそうでもなかったね、やっぱり長谷川さんと組んでいるから面白かったんだね」って言われないようにしたいし、ぜひ「一緒に芝居してみて、楽しかったな」と思ってもらいたい。中井さんだけはちょっと若いですけど、あとはみんなおじさんおばさんばっかりなので!(笑) お客さんにも「おじさんおばさんだらけでも、こんなにも面白いんだ! なんだか、自分も早くおじさんおばさんになりたくなってきたな」なんて、思ってもらえたら嬉しいですね!(笑)

(左から)伊勢志摩、シソンヌじろう、池津祥子

(左から)伊勢志摩、シソンヌじろう、池津祥子

取材・文=田中里津子     撮影=中田智章


berry meet、3ヶ月連続先行配信第1弾「陽だまり」の初オンエアが決定 セルフライナーノーツも公開に

$
0
0


スリーピースバンド・berry meetの新曲「陽だまり」が、4月19日(⼟)放送のFM802『SATURDAY AMUSIC ISLANDS-AFTERNOON EDITION-』で初オンエアされることが決定した。

「陽だまり」は7⽉8⽇リリースのメジャー1sフルアルバム『白昼夢、結んだ⾔葉は花束に』の収録曲で、3ヶ⽉連続先⾏配信の第1弾として4月23日(⽔)にリリースされる。

「今、⾃分の周りにいる⼈や物が⼤切であり、それで満ち⾜りているんだ」と、⼀歩⽴ち⽌まり思い出させるメッセージが込められている楽曲となっている。

「陽だまり」セルフライナーノーツ

僕さ、一つ一つ手放すことにしたよ
目を瞑って 息を吸って
僕ね、もう何も探さないことにしたよ
陽だまりのような温かさで

そうしてきっと 愛を知るのでしょう

『白昼夢、結んだ言葉は花束に』

『白昼夢、結んだ言葉は花束に』

 
berry meet ONE-MAN TOUR 2025-2026 「白昼夢、結んだ言葉は花束に」

berry meet ONE-MAN TOUR 2025-2026 「白昼夢、結んだ言葉は花束に」

 

ピアニスト伊藤 恵が恒例の『春をはこぶコンサート』を開催 公演への思いを語ったコメントも公開

$
0
0


2025年4月29日(火・祝)日本製鉄紀尾井ホールにて、ピアニストの伊藤 恵が毎年恒例となった、『春をはこぶコンサート』を開催する。公演タイトルは『春をはこぶコンサート ふたたび「ベートーヴェンの作品を中心に」Vol.6』。

本公演で現在のベートーヴェンを中心にしたシリーズを開始してからは6回目となり、今回はこの作曲家のピアノ・ソナタ第1番や「幻想曲」を弾くとともに、ベルクやシューベルトのソナタを取り上げる。

今回のコンサートの中心を貫くのは「ファンタジー」。そのことについて思索をめぐらす伊藤よりメッセージが届いたので紹介する。どんなコンサートになるのか、期待しよう。

伊藤 恵(ピアニスト) コメント

伊藤恵

伊藤恵

私はベートーヴェンのことを言う時、どうしても「先生」と呼びたくなります。
そのベートーヴェン先生の第1番のソナタを演奏する時、その後の偉大な業績——9曲の交響曲(特に「第九」!)、素晴らしい16曲の弦楽四重奏曲、そして32曲ものピアノ・ソナタを書いた彼を知っているからこそ、そして、苦難が待ち受けている人生を知っているからこそ、余計に感慨深くその原点となるソナタが愛おしく、心から尊敬の気持ちを込めて演奏したいと願うのです。

今回弾く「幻想曲(ファンタジー)」という作品のことのみならず、演奏には常に“ファンタジー”が必要です。では、どこから「ファンタズィーレン(ドイツ語で想像の意)」するのか。これが難しい。そのインスピレーションをどこから得るのか、常に試行錯誤です。最近ベートーヴェンに関する本を3冊手に取りました。ハインリヒ・シェンカーの「第九」研究、ロマン・ロランのベートーヴェン研究、そしてヨアヒム・カイザーのベートーヴェンのピアノ・ソナタと演奏家についての著作です。面白いことですが、この3作にはともに、なんらかのシェイクスピア作品が出てくるのです。言葉、台詞の使い方とフレーズの使い方、亡霊を登場させる手法と作曲手法の類似点など、ベートーヴェンとシェイクスピアに共通点を見出そうとする。もちろんベートーヴェン先生はシェイクスピアを読んでいます。熟知していらっしゃいます。こうなると私もシェイクスピアの、まずは『ハムレット』から読み直さなければと思い至るのです。映画化された『ハムレット』は好きで、音楽はウォルトン、主演はローレンス・オリヴィエのものをよく観ていましたが、ソ連映画の『ハムレット』は音楽がショスタコーヴィチ。この音楽が凄まじく、暗澹たる地獄に引き摺り込まれます。
こうして本や映画を見、音楽を聴き、桜の下を散歩して、音楽とはなんぞやと考える。何か遠い手の届かない美しい世界のことを考える。そして、なぜ彼はこの音を書いたのかと想いを寄せる。憧れつつ夢見る。いつかそこに自己のファンタジーと作曲家のファンタジーが奇跡的に繋がることがあれば、夢のよう。これこそ叶わないファンタジーかもしれません。

ところで先日、久しぶりにアンドラーシュ・シフさんが、J.S.バッハのピアノ協奏曲6曲を弾き振りする演奏会を拝聴しました。それは無私無欲の悟りの境地、天上に響く音楽でした。
シューベルトの音楽も、諦念から生まれた天上の音楽。彼自身、どんなに孤独や死というものから逃れられない人生を送っていても、美しい花を見る時、その瞬間に全ての苦悩を忘れ、美しい花への共感のみがあるような無私無欲となる。「瞬間」イコール「永遠」こそが果てしなく広がる「ファンタジー」だと感じます。

ベルクのソナタについて言えば、苦悩や悲しみが起きるかもしれないと、恐れ慄く予言のファンタジーかもしれません。

このプログラムは、どの曲から始めてどの曲で終わっても成り立つ、少し実験的な側面もあります。いずれにせよ、真心を込めて、感動と尊敬と感謝を込めて演奏させて頂きます。

What’s FAVOY ~ルーツと今を紐解き“ふぁぼい”を知る~ 第7弾:DAZBEE

$
0
0


『FAVOY』ー それは細分化されたネット音楽を網羅するために立ち上がったプロジェクトである

その第1章となるライブイベント『eplus presents FAVOY TOKYO -電鈴合図-』が、2025年8月7日(木)・8日(金)にZepp Shinjuku(TOKYO)にて開催される。
イベント名である『FAVOY』とは、FavoriteをFaveと略して推しと解釈する海外の若者文化に、2010年代に日本のSNSで流行した「ふぁぼる(いいねを押す)」を掛け合わせた「ふぁぼい(推せる!いいね!)」という造語。インターネットを超えリアルで推しを実感し、新たな推しとの出逢いに繋がるきっかけになってほしいという意味が込められている。
SPICEでは本イベントの開催に向けて、出演者であるSou、超学生、缶缶、DAZBEE、水槽、Empty old City、キービジュアルを担当したイラストレーター・萩森じあにインタビューを実施し、バイオグラフィを紐解く。
第7弾・ラストを飾る今回は、DAZBEE(ダズビー)が登場。活動の原点やネットカルチャーと触れあうことになったきっかけ、いまの“ふぁぼい”など、たっぷりと語ってもらった。


──今回のイベント『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』のオファーが来たときにどう思われましたか?

普段はレコーディングなどを含め、ほとんど一人で自宅作業をしていまして、もっといろんなアーティストさん、ファンの方々と触れ合いたいと思っていました。それに、今までは日本でライブができる機会が少なかったので、『FAVOY TOKYO -電鈴合図-』に呼んでくださったことが本当に嬉しかったです。今回は久しぶりの日本でのライブなので、日本のファンの方々とももっと交流して、私に初めて触れる方々にも記憶に残るような歌を歌いたいと思っています。そして誰かの新しい“ふぁぼい”になれたら、それもまた嬉しいことですね。
 
──DAZBEEさんが出演される2日目には、Empty old Cityと水槽さんも出演されますが、二組にはどのような印象をお持ちですか?

Empty old Cityさんの「Daisy Crown」という楽曲が本当に大好きなので、今回ご一緒に、しかも同じ日に出演されると聞いて本当に嬉しかったです。水槽さんも、実はずっと前からYouTubeでチャンネル登録をして応援していましたし、「はやく夜へ」という楽曲が大好きでたくさん聴いていたので、今回お会いできることになったら何を話せばいいのか今から迷っています。素敵な方々と共演できてすごく楽しみですし、今回のイベントをきっかけに知り合いになりたいという私の小さな願いがあるので、頑張ってみます!

──今回は、DAZBEEさんのことについていろいろとお聞きしたいと思っています。まずは音楽活動を始めたきっかけ、ネットカルチャーと触れ合うことになったきっかけを教えてください。

「音楽活動をすることになるなんて思ってた?」って周りの人によく聞かれるんですけど、その度に「全然想像もしてなかった」と答えています。というのも、大学では西洋画を専攻していたので……自分でもまだ不思議です。歌うことが楽しいと気づいたのは、中学2年生の頃だったと思います。その頃から日本のアニメをよく観るようになって、自然とJ-POPにも興味を持つようになりました。ニコニコ動画の存在もその頃に知りました。家でレコーディングができることと、動画を上げたら日本の方々も私の歌を聴くことができることを思うとすごくワクワクして、すっかりハマってしまいました。自分の日本語がどんなふうに聴こえるんだろうというのもすごく興味深かったですし、好きな歌で国を超えて交流できるのが本当に嬉しかったです。

──当時、印象に残った音楽やライブを挙げるといかがでしょうか。

私の姉も日本の文化が大好きで、2人でJ-POPを聴いたりしていたのですが、初めて2人共好きになったアーティストが大塚愛さんでした。大塚愛さんのライブDVDを買って、リビングで一緒に観た思い出が今でも鮮明に残っています。当時はまだ学生だったので、実際にライブを観に行くことはできなかったのですが、DVDを通じて現場の雰囲気を味わいたかったんだと思います。大塚愛さんのパフォーマンスとエネルギーがすごく印象的で、今でも記憶に残っていますね。

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

──DAZBEEさんが思うJ-POP/ボーカロイド楽曲/韓国の音楽の魅力をそれぞれ教えてください。

私が思うJ-POPの魅力は、音楽そのものはもちろんですが、やはり歌詞の情緒といいますか、韓国の音楽とはまた違うニュアンスがあるところです。日本は韓国とは違って、アニメやドラマといったメディア作品にタイアップされる音楽の存在感がかなり大きいと感じていて、その音楽には感情や物語の流れ、いわばもうひとつのストーリーが楽曲に宿っているように感じました。私もアニメ音楽をきっかけにこの世界に触れたので、そこはすごい魅力だと思っています。ボーカロイド音楽にはJ-POPとまた違って、なかなか挑戦できないようなことに果敢にチャレンジしている魅力がありますね。すごく個性的で、生の感情がむき出しになっていたり、面白い音作りをしたりしているところをとても自由に感じます。韓国の音楽は、私もK-POPアイドルの音楽をよく聴いていますが、やはり完成度の高いパフォーマンスを一緒に観れるのが最大の魅力だと思います。スタイリッシュな企画も面白いですし、観る楽しみが確かにあると思いました。普段からいろんな音楽を聴いていますが、どれも魅力的で面白いです。

──日本の音楽と韓国の音楽で、たとえば恋愛や怒りなど、歌詞における感情表現の違いに大きな差を感じることはありますか?

言葉にするのが難しいのですが、日本は韓国よりもう少し深い内面に対して、“実はみんなそうだよね”と寄り添ってくれるような感覚があります。それが慰めや癒しになることもありますし、捻った感情にもなれますし、いろいろな形で解釈できる歌詞が多いと思いました。韓国はもっと素直に表現してくる感じがありますね。よりストレートに気持ちを表現することを好む傾向があるのかもしれませんが、もしかしたら日本語と韓国語の発音の差の影響もあるかなとは思っています。

──なるほど、発音ですか。

日本語の発音は全体的に柔らかい感じで、韓国語は少し硬い感じがあると個人的に思っているのですが、同じ曲に似たような歌詞をそれぞれの言語で乗せたときに、どうしても違う感じがあったことを、私のオリジナル曲「Bambi」から感じました。元々韓国語の曲だったものを日本語でもリリースしたのですが、なるべく原曲の歌詞を日本語でも自然に活かしたくて、私からもかなり意見を多く出させてもらったんです。もちろん、私は韓国語が母国語なのでそう感じれるのかもしれませんが、日本と韓国の音楽の違いの質問で答えたように、それぞれのニュアンスが違うように感じられるのは歌詞の影響も結構大きいと思いました。

──これまでさまざまな楽曲をカバーされてきましたが、選曲するときに大切にしていること、意識していることはありますか?

私は自分が心から惹かれるものに本気になるタイプなので、カバーしている曲は本当にその曲が好きですし、いつも原曲へのリスペクトの感情を持って歌っています。なので、自分がその曲を本当に好きなのかどうかが一番意識していることで、他には自分の声に合っているのかを考えたりもします。

──いつも歌うときに気をつけていること、心がけていることというと?

歌うときに一番気をつけていることは、やはり発音ですね。自然に聴こえるかどうか、あまりにも真面目すぎる発音になっていないか。私はネイティブではないので、そこは努力するしかないといつも思っています。オリジナル曲の「愛じゃない」のラップパートも最初は大変でしたが、ライブで何回か披露して、ようやく少し慣れてきました。あとはディテールも気をつけています。ただ気持ちよくスーッと歌った曲と、細かいところまでしつこいくらいこだわって歌った曲とでは違いがあると思っているので、同じラインをいろんなテイクでレコーディングしたりもします。私はオリジナル曲もほぼホームレコーディングをしていて、時間も自由に使えるので、何日もかけて修正レコーディングをしています。だからレコーディングには結構時間がかかるほうですね。

──これまで歌うのが一番難しかった、大変だった曲は何でしたか?

オリジナル曲の「砂嵐」です。曲調が切り替わることもそうですけど、歌詞のテーマが死別だったので、どんな感情を込めて歌えばいいのかという部分で大変でした。でも、難しさはありましたけど楽しかったです。楽曲を提供してくださったTOOBOEさん特有の世界観がある曲ですし、私のオリジナル曲の中でも歌詞の物語が目立つ曲だと思います。

──これまで活動してきた中で、大変だったけれども達成感の大きかった瞬間はどんなときですか?

2023年に韓国でRaonさんと一緒にした「ECLIPSE」のライブですね。本当に何年か振りに立つステージだったので、プレッシャーがものすごくて……。すごく緊張した状態でステージに上がって、オープニングを終えて挨拶をしたのですが、そのときファンの皆さんがすごい歓声を出してくれて。その声を聴いた瞬間、思わず涙が溢れそうになりました。正直、自信がなかったんです。本当に久しぶりのライブで、まだ私のことを好きでいてくれている人たちがいるのかな……という不安な気持ちでいっぱいでした。でも、その応援の声で、それがどれだけ愚かな悩みだったのかを思い知りました。ファンの皆さんも私と同じぐらい、この瞬間を待っていてくれたんだという気持ちがすごく伝わってきて、必死に涙をこらえました。

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

『2023 Raon & DAZBEE Concert : THE ECLIPSE』 Photo by Gahyeon Kim

──これまでインターネットカルチャーと言われる中で活動をされてきたわけですが、今後挑戦してみたいこと、目標はありますか?

もっと外の世界に出て、人と直接コミュニケーションを取ってみることが目標です。他の人からすると、“そんなに大きな目標じゃないな……”と思うかもしれませんが、個人的にはものすごく勇気が必要なことなので、頑張りたいと思っています。なので、ライブを含めて、今後いろんな方面でファンの方々と直接会う機会を増やしていきたいです。ネットカルチャーは常にトレンドが早い速度で移り変わっていると思いますが、長く活動してきたからこそ、遅れないように、これからも全力で頑張って、自分らしさを見失わず、少しずつでも深めていけたらと思っています。

──“自分もインターネットカルチャーの作り手になりたい”と思っている人たちに向けてメッセージをお願いします。

本気で好きなことを見つけて、それをとことん掘り下げていってほしいです。私もまだまだですが、好きなものや、経験、たくさんの試行錯誤が積み重なって、やがて自分だけの個性になっていくんだと思います。また、ネットカルチャーの魅力は、自分がやりたいことを自由にやれるというところにもあると思っているので、難しいと考えるよりも、何でもチャレンジしてみることも大事だと思います。私も初めて自分の歌をネットに投稿したときのときめきを今でも忘れられません。きっとその小さな勇気が大きな変化になると思います。

──最後に、ジャンルを問わずいまの“ふぁぼい”(推し)を教えてください。

真剣な話のすぐ後にアレなんですが、マリオシリーズのルイージが“ふぁぼい”です。私は子供の頃、ゲームキューブでよく遊んでいて、その中でも『ルイージマンション』というゲームが一番好きでした。ルイージはマリオの弟で、気が小さくて怖がりなんですが、そんなルイージが幽霊の出る屋敷で捕まった兄を助けるために、掃除機で幽霊を吸い込んでいくというストーリーなんですけど、怖がりの弟が勇気を持って兄を助けることや、いつも助演だったルイージがこのシリーズでは主人公というのがすごく新鮮だったことと、彼の悲鳴や怯えた声が本当に可愛くて、それ以来ずっとファンなんです。私もルイージと似ている部分がかなりあると思うので、彼みたいに勇気を持って成長していきたいです。


取材・文=山口哲生

にしな この場にいるすべての人の命が呼応する音楽の不思議、一夜限りのスペシャルライブ『MUSICK』で見せた意欲

$
0
0

NISHINA ONE-MAN LIVE “MUSICK”
2025.4.12 東京国際フォーラムホールA

にしなが『MUSICK』と銘打った一夜限りのスペシャルライブを、ワンマンとしてはキャリア最大キャパとなる東京国際フォーラムホールAで開催した。

ステージ前面の紗幕には“MUSICK NISHINA、Sorry too sick to make music.”という文章が笑顔の形を作っている。直訳だと「ごめんなさい、調子が悪くて音楽が作れません」になるが、おそらくネイティブがsickを「カッコいい」とか「素晴らしい」という意味で使うことから、ヤバいぐらい音楽を作ることにハマってる、みたいな意味なんじゃないか?と捉えた。そして、その答えは新しいチャレンジを含む本編で明らかになっていく。紗幕に幼い頃、熱を出した時、母親の温かい手に安心したという文字が投影され、さらには古今東西、世界の“音楽する人”の映像がランダムに流れる。そこに第一音が流れ、バンドメンバー、そしてエレキギターを構えるにしなのシルエットが浮かび上がり、紗幕が落ちると「アイニコイ」でライブがスタートした。これまでラストにセットされることが多かったこの曲がいきなり演奏されたことで、早くも静かなグルーヴが場内に生まれ、続く「クランベリージャムをかけて」ではハンドマイクにスイッチし、肩に掛けたバッグから客席にキャンディを投げ入れながら歌う。ベースのTomiが大きくクラップの動作をして、オーディエンスの鳴らすクラップもつられてボリュームアップ。「東京マーブル」でもステージの端から端まで歩き、「ケダモノのフレンズ」ではおなじみタオル回しが自然に起こった。

最初のMCでは、今回のステージはみんなで音楽を作ることを目的にシンプルにしたと告げ、「みんなの力も貸してくれないかな?」と、“MUSICK”のテーマを明らかにしてくれた。序盤のアッパーなポップチューンから、カントリーテイストのライブアレンジが施されたくじらとのコラボ曲「あれが恋だったのかな」や、アーバングルーヴが魅力的な「bugs」ではハイトーンのロングトーンで魅せる。ライブ巧者のおなじみバンドメンバーたち、松本ジュン(key)、真田徹(Gt)、Tomi(Ba)、望月敬史(Dr)が作るグルーヴはシーケンスを抑え目に、生でも抜き差しの妙でこのアトモスフェリックな楽曲を成立させて心地よい。都会に生きるリアルな世代感の「bugs」から、禁断の恋の孤独感を歌う「夜になって」へ、まさに時間の経過も感じる流れが心に迫る。狂おしい感情は松本のソロにつながって、ドラマチックなエンディングを迎えた。ジャンルを越境して音楽の底知れなさを楽しむのはにしなのライブの醍醐味の一つだが、同時に内面にダイブする感情の振り幅もまた、彼女のライブならではの時間だ。1曲1曲の世界観を凝縮したアレンジも聴き応え、見応え抜群で、続いては鐘の音やスネアのマーチングのリズムも印象的なイントロから、にしなのファンにとって心の軸にありそうな「1999」が披露される。さえざえとした青いライトは地球最後の日にならなかった1999年の終わりの次の日の誕生のようだ。オーケストレーションとコーラスのシーケンスが重なり、宇宙的な広がりを感じる中、ステージを覆うスモークがその印象をさらに強くしていた。

客席が感銘しているところに「煙い、煙い」と現実に引き戻し、思わず笑いを起こすにしな。ここからはライブタイトルの意味にも通じる新しい試行として、長らくやってみたかったというアコースティックアレンジでのライブが展開。まず1曲目はこれをそのアレンジで聴かせるんだ?という意外性に満ちた「FRIDAY KIDS CHINA TOWN」が、松本のピアノのみで披露され、歌メロの弾むフロウはより際立ち、にしなの丸くブレス成分多めの声をビビッドに聴くことができた。緊張したという松本をスマホのカメラにちゃっかり収めるにしなに茶目っ気を見る。そして完全にアコースティック楽器ではないのだが、ボリュームを抑えた楽器の音が、ネオソウルフレーバーを際立たせた「ランデブー」。間奏ではにしながカズーでメロディを吹き、ちょっとコミカルな味付けも。3曲目はメンバーがステージ中央にぎゅっと集まり、アコギ、鍵盤ハーモニカ、カホン、ベースという編成で「It’s a piece of cake」をクリックに頼らない呼吸を合わせる演奏で届けた。さらにこの曲ではオーディエンスの力も借りて、ラララのシンガロングが大きくなっていく。こんなに大きな会場なのに、まるでキャンプファイアーを囲む気分だった。

音楽を一緒に作るというテーマに具体的にアプローチしたアコースティックコーナーの意味を味わいながら、すぐにスイッチして再び大きなバンドサウンドの「真っ白」、ギターロックのダイナミズムを感じる「スローモーション」と、音像がどんどん立体的になる。因みににしなのリズムギタリストの側面のファンもいると思うのだが、この2曲ではストラトとレスポールを使い、曲に合うサウンドの吟味にも注目してしまう。「スローモーション」のエンディングを大人っぽく決めると、続く「シュガースポット」のイントロでメンバー紹介を兼ねたソロが展開する。最後に「そしてにしな!」と自己紹介し、ステージ上手に駆け出し、フロアにタオルを投げ込む彼女。オーディエンスのバイブスがさらに上がり、サビのシンガロングも大きくなっていく。にしなならではのポップワールドは続く「U+」で大きなクラップを生み出し、サビのハイトーンで誰もが気持ちを重ね合わせていくように見えた。

「フォーラム、最高です。終わるのもったいない」と、初の試みも盛り込んだここまでの時間を味わっているようなにしな。その終盤に最新曲であり、ドラマ『リラの花咲くけものみち』主題歌である「つくし」がセットされた。音源でのストリングスが印象的なシンプルで豊かなアレンジを活かしつつ、バンドのしっかりした足腰が感じられるオーセンティックなアンサンブルに乗せて、いつか終わる命を人間のみならず、自然の移り変わりなどにも映して表現した歌詞が心に広がっていく。今回の一つの見せ場であるこの曲に続いて、代表曲であり、「つくし」とはベクトルの異なる死生観を漂わせる「ヘビースモーク」に繋いだことも、彼女の表現者のスタンスをいい意味でずっしりと感じる構成だった。そして、本編ラストはまさに人と人とが呼応・反応し合って生きる、その体感が音楽になったような「わをん」。さかんに客席にマイクを向け、それに応えるオーディエンスと作る空間が必然に感じられる瞬間だ。モノローグ調のヴァースと突き抜けるようなサビの美しい対比という、新しい歌の表現にも思わず聴き入ってしまった。賑やかに終盤を締めくくるのではなく、“生きるとは?”という少し重めのテーマでありながら、しっかり聴き手の心に錨を下ろすような印象に残るエンディングとなった。

客席の一部から「It’s a pieace of cake」のラララのシンガロングが始まり、そのしっかりした合唱並みのメロディに呼応して、次第にシンガロングもクラップも大きくなる中、驚いたような嬉しい表情でアンコールに再登場したにしなとバンドメンバー。そこに鳴らされたのは極上のピアノポップ「ねこぜ」で、さらにチアフルなムードを加速させたあと、ライブハウスツアー『MUSICK2』の開催が告知され、初披露となる4月30日リリースの新曲「weekly」が届けられた。ワカチコカッティングとホーンのSEが印象的な軽快な楽曲だ。この曲を最後にバンドメンバーがステージを後にし、一人残ったにしなは、オーディエンスやライブを作ってくれるすべての人の存在なくして自分は音楽で生きていくことはできないと話す。実はライブ前に歌えなくなり心が折れ、なぜ歌うのかわからなくなってしまったのだと告白。ライブを通して一人ひとりの顔を見て不安や疑問を乗り越え、答えを手にしたのだろう。ラストは原点に戻って弾き語りで「harmonic flight」という未発表曲を涙をこらえながら歌いきった。どんな感情もすべて抱きしめて捨てずに歌う人なのだな、と、彼女の抑えきれず零れてしまう歌の真実にあらためて気付かされた。


取材・文=石角友香 撮影=Daiki Miura

>>すべての画像を見る

 

ReoNa「AVATAR 2024」「Birth 2024」LIVE BD&DVD商品詳細公開!「AVATAR 2024」にReoNa×日笠陽子のオーディオコメンタリー収録

$
0
0

2025年6月4日に発売される、『神崎エルザ starring ReoNa ✕ ReoNa Special Live “AVATAR 2024”』『ReoNa ONE-MAN Concert “Birth 2024”』LIVE BD&DVDの詳細が公開された。

完全生産限定盤BOXデザイン

完全生産限定盤BOXデザイン

2つのライブを1つにまとめた、完全生産限定盤は豪華BOX仕様。ReoNaがライブで愛用しているギターアンプを模してデザインされたBOXは細部にまでこだわって作られたまさにミニアンプ。さらに封入のフォトブックは豪華80P。捲る方向によって、それぞれの公演の写真のみが現れる特殊な製本を採用した不思議な仕様となっている。

(左)ReoNa(右)日笠陽子

(左)ReoNa(右)日笠陽子

そして、神崎エルザとReoNaの対バンライブ『神崎エルザ starring ReoNa ✕ ReoNa Special Live “AVATAR 2024”』には、副音声で聴くことができる、オーディオコメンタリーを収録。このコメンタリーには、ReoNaに加え、共にライブを作り上げた、神崎エルザの声を担当する日笠陽子が参加。神崎エルザの歌唱担当のReoNaと声を担当する日笠陽子のふたりが1つとなって作り上げたこのライブへ寄せる想いをぜひ確認しておきたい。また、各ショップでの購入特典の画像も本日公開されている。

『神崎エルザ starring ReoNa ✕ ReoNa Special Live "AVATAR 2024"』『ReoNa ONE-MAN Concert "Birth 2024"』パッケージ

『神崎エルザ starring ReoNa ✕ ReoNa Special Live "AVATAR 2024"』『ReoNa ONE-MAN Concert "Birth 2024"』パッケージ

6月1日(日)には、両作品の発売を記念して、ライヴ・フィルム(劇場版5.1chサラウンド)『神崎エルザ starring ReoNa ✕ ReoNa Special Live “AVATAR 2024”』、『ReoNa ONE-MAN Concert “Birth 2024”』が、全国18都市20の映画館にて上映される。ライヴ・フィルムが劇場公開されるのは、ReoNaとっては自身初。新宿ピカデリーではReoNa本人が登壇、両作品を一挙見するプレミアム上映の開催も同じく発表されている。
 

Viewing all 61171 articles
Browse latest View live